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IN DREAM2

第11章 破滅の鐘




不快に満ちた表情でライアンを睨むように見つめる瞳は赤く光り、完全に敵意を見せた瞬間だ
崇高な魔術師の怒りをかってしまった事に、生前なら身震いして黙ってしまっていただろう
それでもどうしても確認しておきたかった

「敵に勝てる自信があるというの!?
もしそうなら、ここの死者全員の魔力と結界の保有者の魔力を上回らなければできないことです!」

「敵の魔力を上回る、か
フッ・・・面白い」
「な、何故笑って入れるの?」
「魔力の量には自信があってな
それに、少し興味もある」

クライヴの笑みを含めた余裕は一体どこから出てくるものなのか
魔力の量とは言うがそれを使いこなせる技術も保有しなければ意味がない

「あ、貴方は本当に何者ですか?!」

ライアンの問いはクライヴが作り上げた、膨大に膨れ上がる焔の勢いで聞こえない程小さかった
だが、クライヴにはしっかりと聞こえていたのだ

「クライヴ・ベネディクト
かつて闇族第5王子として世界を破滅に導いた者だ」

絶句ーーー。
その言葉が一番相応しいだろう
魔術師の国、魔導国と友好関係を結び、繁栄をもたらした闇族の王族が目の前にいることにライアンは言葉が見つからなかった

数々の禁術を習得し、使い魔を使役し、世界を駆け巡った伝説は魔導国の英雄伝に刻まれていた
誠の名を英雄伝に刻まれるのは選ばれた者だけになり、魔術師であれば誰もが夢見たことだ

大魔術師のアークが敬意を見せるのも理解できた

「敵が何であろうと、関係ありませんよ
今までずっとそうであったように、彼の方は守るべき存在は何としてでもお守りになられます
そのための力を有してらっしゃるのですよ」

アークが見惚れた表情で話す中、クライヴの炎は勢いを増していく
空に浮かぶ星々は迎撃態勢に入ったのだろう
無造作に散りばめられた星は一つ一つ動き出し、一つの星座として形を成す

星は弓を構えた人型へと変形して行き、その矛先はクライヴを真っ直ぐと狙っている
それ以上力を増せば直ぐに撃ち抜く
そう、伝えているのは声に出さずとも理解できる
それでも敢えて炎の勢いを止めなかったのは
敵と戦う事は避けられず、勝利する事が結界を解く鍵となるからだ

「敵が攻撃してきた時はこのアークが貴方様をお守り致します。」

「あぁ、俺のサポートを頼む
・・期待しているぞ、アーク」



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