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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




獣族には純血の一族と、混血の者とで大きく分かれた扱いを受けていた
狼一族の純血であるジュリは、アレックスにとってみれば腹違いの妹であり、己の憧れでもあった
獣族とは大きくまとめた名称であり、詳細に言えば狼一族や、牛一族、山羊一族、猛禽一族など格動物の種族が存在している
その中でも狼一族は獣族の中でも戦闘と遊撃、狩りに特化したエキスパートであり、どの一族よりも重宝されていた
狼一族の父と、山羊一族の母親を持つアレックスは混合種と言われ、外見から強い血を引いている一族側の部隊に入れられ、無理矢理兵団に入れられることもあり、純血種と比べて不当な扱いを受けやすかった
そしてアレックスもその一人だ
本来であれば妹と同じ狼一族として前線に立ち、闇の脅威から家族を守る為戦いたかった
だが、母親の山羊一族の血を強く受け継いだため、前線ではなく、山羊一族が得意とする工作部隊へ入団し、不向きなことばかり強要されていた

「ジュリ、また明日も前線に行くのだろう」
「え、うん。それがどうかしたの?」

既に手の甲を包帯で巻き、軽傷とはいけ傷を負っている妹に
どんな表情で見送ればよいのか、アレックスはわからなかった

「いつ、闇族が世界へ宣戦布告を行うかわからない
危険だと判断したら必ず逃げるんだよ」
「クスっ・・もう、心配性なんだからーお兄ちゃんは!
大丈夫だよ、本当に危険だったときは、逃げるから。」
「―――あぁ、約束だ」


傷ついて包帯を巻いた手を優しく包み、アレックスは愛しの家族を抱き寄せた
その一時の安息が最後の温もりになる事を知らぬまま
暗黒戦争が勃発した


闇族は火族を雇い、炎の魔法で森を焼き払い、新型のウィルスをまき散らし、多くの獣族が死に、闇へ堕ちて魔族化した
そしてアレックス自身の工作部隊もウィルスに汚染され
闇が体の中からむしばんでいく感覚に襲われていた
隊は全滅し、一人だけ戦線離脱し、辛うじて感じる妹の匂いを頼りに探していた
燃える森の中、煙と灰になっていく木々を避けながら
辛うじて見えるその人影に、アレックスは希望のように感じた

小さな少女の背中が見えた
その姿は燃え盛る火から逃げ場を失くし、都戸惑っている様子に思えた

「ジュリっ!」
「!」

叫ぶ声に反応し、少女は己の名を呼んだ先へ振り替える


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