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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




「―――これは大地に染み付いた記憶と魔力を使用し、この地の歴史を映像化させている。まだディオン連邦共和国というものが誕生する前からの時代を歩み、僕たち獣族は長い歴史を作り、発展途上ではあるがそれ相応の規律と技術を用いて一族の繁栄を行っていた」

生い茂る緑と太陽の光で宝石を生み出す特殊な植物が繁殖している
木から生える木の葉は人里のものより一枚一枚大きく、葉を巻いて昼寝をしている虫に、幼い狼の少女がつつき、遊んでいる

灰色の狼の毛は頭から生える耳を覆い、鋭い犬歯が可愛らしく見えるほど、無邪気に笑う少女
「アレックスお兄ちゃんー!
見て見てー!」

茶髪の長い髪をなびかせながら少女が呼んだ先には
同じ茶髪で肌褐色の青年がゆっくりと歩いていた
頭から山羊の角を二本生やし、少女よりかは鋭くない犬歯をみせながら、穏やかに話す
「ジュリ、あまりはしゃぎするとまた迷子になるぞ」
「大丈夫よ、お兄ちゃんがいるもの!
それにいつまでも子供扱いしないでよね
あたし、こう見えて立派な戦士なんだから」
頬を膨らませ、拗ねるジュリに、アレックスは頭を撫でながら微笑ましく話していた

ここは暗黒戦争勃発前の過去の記憶
今では跡形もないが、かつて獣族という獣と人が融合したような姿をした者達が住んでいた森――――
アレックスという男が闇に堕ちる前からその後の記録を
大地は全て見届けている
ヒルトは現実のような鮮明な映像に驚かされながら
それでも己の体を透けて通り越していく映像を見ながら
確かに現実ではないと実感した

「ジュリ、君は僕と違って純血の狼一族・・。
それゆえに闇族との戦闘の前線に立たされることが多いだろうが、あまり無茶をしてはいけないよ」
「大丈夫よ、お兄ちゃん!
もし何かあれば後方支援部隊が救援に来てくれるし、あたし達狼一族が前線に立ち、敵を誘導しなくちゃお兄ちゃんが所属してる支援部隊がうまく動けないしね」
「・・・僕が混血で狼一族の血を強く受け継いでいなかったばっかりに妹であるジュリに負担ばかりかけているね」
「そんなことない!
お互いいいところを出し合って助け合えてるんだから、そんな自分だけ責めないでよ、お兄ちゃん」
「ああ、ありがとう」



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