
第9章 ディオン連邦共和王国

「とある魔族から取り出した闇の結晶だ
この結晶を身に着けることで、魔族は更に強靭な力を手に入れ
インドリームの浄化の力すらも効かなくなる」
「!」
「そんな魔族が辿る末路は死のみ。
我々は闇の住人として同胞がインドリームに虐殺され、灰と化す末路を避けるために暗躍する組織だ
・・君の言う通り、次期国王をここに来るように誘導はしたが
それはアレックスやインドリームのためだけではなく、この国を強化し、魔族から侵入をさせないためだ」
赤い宝石が入った小瓶を握りしめ、再び胸ポケットに収納するヘイデン
「なるほどな。
つまりお前達組織は場合によってはインドリームと敵対する可能性があるが、そうなることを願っていないということか」
「勿論だ。
我々が束になって襲っても君たちには勝てるかどうか・・
それに、戦ったとしてまだ浄化されるつもりはないんだ
我は魔族である身だが、まだ生きたいと感じている」
「勿論僕もそう願っているよ
これを君たちの言い方で言うなら夢ってやつかな」
「夢、か。」
遠い先を見ながらクライヴは静かに呟く
目の前の魔族や闇堕ちが話すことをそのまま信じてもよいのか
またはそういう者達もいると言い聞かせ、このまま野放しにしておくか
監視としてラルザをつけておくことも可能だが、体の中に入れておく守護霊を継続的に外の世界で活動させるとなると
クライヴの魔力は常にラルザへ提供しなければならない
そうなると敵との戦闘で万が一、堕天使アルトリア達が相手になった時、太刀打ちできない
多くの危険性を考えながら、クライヴは渋々ヘイデンとユーインの話を信じた
そうせざるを得なかったからだ
「クライヴ・ベネディクト君
ここで誓って言おう。
我々組織全員はインドリームと敵対することを望まず
ただ可能性を捨てて浄化されるだけの同胞が哀れに思い、活動している者達だ
必要とあれば、この力・・インドリームへ協力するために振うこともあろう」
「・・そうか。
その言葉、信じているぞ
だがもし、俺の友に傷をつける存在が組織内にいるとわかった暁には」
「わかっている。
君が黙っていないだろう
その時は問答無用で殺してくれてもかまわない
組織の者達は皆、覚悟を決めている」
ため息交じりの声で話しながら、ヘイデンは迷いなき目を向けながら誓った
その目にクライヴは疑いをもつことなく
素直に受け入れる
