第9章 ディオン連邦共和王国
「陛下!
只今準備が出来ました。
馬車も近くまで来ております」
汗を流しながら兵士の1人が伝令としてきた
乗っていた馬からすぐに降り、フォレストの前で敬礼をし、すぐ側で頭を下ろしていたアレックスにも目を向ける
「アレックスも連れて行かれますか?」
「ーーーあぁ。今回の事件に関係してる者は全員宮殿へ迎える
だが、そこにいる二人組の魔族は不要だ」
フォレストはヘイデンとユーインに一瞬だけ目を向け
すぐにアレックスを立たせてからインドリームへ近づく
簡単にあしらいを受けたにも関わらず、平然としているヘイデンとユーイン
それどころか助かったと言いたいような表情を同時に浮かべながら
2人で見つめている
「インドリーム諸君、待たせたな
恩人である君達を乗せる馬車が簡素なものであることを先に詫びよう」
「気にしないでください、フォレストさん
皆んな、行こうか」
ヒルトは仲間をつけれ馬車へ乗りこむ時
ヘイデンとユーインに合わせて1人だけ足を止めている者がいた
「クライヴ?」
ヒルトは馬車に乗りこむ前に振り向き、その名を呼ぶが
既にクライヴは見送るというより横目で“先に行け”と言うような視線を送る
フォレストはクライヴが来る意思がない事が真っ先に理解し
無理にこさせる必要もないと説明した
何故なら宮殿には多少なりとも官僚や騒動を聞きつけて駆けつけた親族もいる
そこにインドリームの仲間とはいえ、見ず知らずの闇堕ちが同行しれば誰もが警戒するからだ
アレックスも同じ闇堕ちであっても、既に見慣れた顔であり兵士として愛国心もあり、国民としても扱われていた
だが、外部の闇堕ちには敵意と警戒を持っていた王族がいる空間に
クライヴがいないことはとても好都合である
ヒルト自信もクライヴが同行しないことについて
強く攻める気はなく、すんなりと受け入れて馬車へ完全に乗り込んだ
瓦礫を避けながら宮殿へ去っていくインドリームと王族を見送り
クライヴはため息をつく
「君も気を使うね」
呆れた口調で話したのはユーインだった
「まぁな。
だが、お前達より幾分かマシだ」
「同情はよしてくれないか、闇の王子様
我々に聞きたいことがあるから残られたのだろう」
ヘイデンは見抜いていた
クライヴが何を行う為にインドリームと別行動を取ったのか
余裕の笑みを見せながら、鼻で笑うクライヴ
