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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




胸部の皮膚は綺麗になり、獣の毛深さが見えるのは
そこを隠しているはずの服が丸く穴をあけていたからだ
傷口を防ぐ事ができても、服までは治すことができない
天族特有の治癒ではなく、闇の力を使った治癒を行われ命を取り留めたのだろう

あれ程の傷を負えば例え生命力と身体能力が高く、闇堕ちのアレックスであっても死ぬだろう
それでも平然と生きていることから、インドリームの助力と生きる意志を感じる

「フォレストお兄様」

震えた声で己の名を呼んだのは聞き慣れた妹の声
「アレックスの傷は治っているけど、彼はとても疲弊してるわ
暫くの間、私が彼を看病しようと思うの」
「・・・」
「隣国との婚約は必ず果たすわ!
だからほんの少しの間だけでもいいから、彼の側にいさせてほしい」

本来、ジーナの願いを叶える事は、フォレストだけの意見で決めることが出来なかった
評議会と神官と国王との三者間での慎重な協議の元で決断しなければならない
協議によって独裁的な結果は生まれないメリットがある
それでもフォレスト自信、時間も費用もかかる協議にはうんざりしていた
下される結論はいつも貴族の私腹を肥やすものであり
それに王族は渋々付き合わされていた
だが今は国が半壊に近い状況であり
魔族の奇襲に怖気ついた貴族は屋敷に籠って出ようとしない
この気しかない、そう感じたフォレストはジーナの願いをすぐに叶える事を約束する

「いいだろう、ジーナ
だが言い方が違うな・・
ジーナがアレックスに寄り添うのではない。
アレックス、お前が俺の妹をこれからも守り、寄り添え」
「!」
「フォレスト・・お兄様
でも私は隣国に・・」
「そんなもの、この事件を見ていた隣国の王が受け入れるとは思うか?
只でさえ獣族と共存をする我々を嫌っていた人間だぞ
魔族と繋がりを持つ裏切り者を抱えていた国の王女と結婚し、我が国と和平を結ぶとは思えない
だからこそ、この俺が決定を下す!
アレックス、俺の妹を最後まで守り抜くため、専属の護衛兵として勤めろ」

フォレストの決断に誰しもが目を見開いた
それもそうだ
アレックスとジーナが渇望していた夢が今
叶う事が許された

疲弊していたとしても構わない
アレックスは心から平服した
今のフォレスト・レジオン・ヴァーミリアンだからこそ
身を捧げて頭を下げ、仕える王だと初めて感じた瞬間だった


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