第9章 ディオン連邦共和王国
ヒルトは暫く考えるが目前の次期国王はすぐにでも
インドリームを連れて行きたいのだろう
そんな急かす空気が伝わるからこそ、ヒルトはすぐに答えた
「わかった
俺も貴方と話をしたいと思います、次期国王陛下」
礼儀正しく振る舞うその姿は外見の年齢からでは想定できないものだ
力も心も強くあるヒルトに感化された
だからこそ心から宮廷への招き入れる準備をするよう
近兵に伝え、近兵は馬へ乗り、すぐに伝令として動き出す
荒れ果てた闘技場を見渡し、次期国王は口をつむるが
すぐにヒルトへ視線を移した
「まだ名乗っていなかったな
私の名はフォレスト・レジオン・ヴァーミリアンだ
この国を次に統べる者である」
「フォレスト・レジオン・ヴァーミリアン陛下
俺はインドリームのリーダーであり、風を司る者です
今回はこの国で起きた事件を未然に防ぐことができず
申し訳ありませんでした」
「陛下はよしてくれ、ヒルト君
私は君達のおかげで国が潰れることがなく、終結した事に深く感謝している
だからこそ、君と私は対等に話をしたい
これからはフォレストと呼んでくれ」
「・・ありがとうございます、フォレストさん
けど、敵はーーー」
「カンス神官か?」
「!
まさか気づいていたのですか?」
「あの男はとうに寿命を超えて行き続け、姿も変わらず俺が幼い時から老人だった
昔から疑ってはいたが国への統治が忙しくてな・・調べる時間もなかった
それにあの神官が魔族と繋がっている証拠を探すにも人材が足りず、頭を悩ませていた時の今回だ。」
灰となって消えて跡形もなく、神官の服だけが汚れ、ボロ布になったような形で地面に落ちている
その近くには傷を治癒し、座り込んでいるアレックスと
不安気な表情でこちらを見ているジーナがいる
フォレストはかけてる言葉を慎重に考える
次期国王としてかける言葉をアレックスへ
そして兄としてかける言葉をジーナへ
神官が裏で動いていた事が個人的な若返りだけならまだよかった
だが仮にも嫌っていたとはいえ、国民であり、妹の心の支えとなっていたアレックスを利用していた
それでもアレックスは強い意志を持って戦い続けたのが目を見ればわかる