第9章 ディオン連邦共和王国
「アレックスを救う方法はある」
「!?」
表情1つ変えずに話すクライヴ
全員の視線が向けられる中、ジーナが先に反応した
「できるなら今すぐでもっーー!」
「だがそれには供物が必要だ」
供物ーーーー
それは闇の儀式や術を発動する際に必要な媒介物でもあり
目には目を
歯には歯を求める
そして肉体の治癒には必要となる供物は対となる血である
クライヴは供物となる血の条件もあることを話した
「対となる血は対象者の身近な存在であり
同等かそれ以上の価値だとアレックス自身がみている者になる
つまり、ここでいうならばジーナ・・
あんたが供物となる必要がある」
「!」
「私が・・供物?」
聞き慣れない内容やこれから起こる事に不安を抱えながら
眉を細めるジーナ
「そうだ。
あんたが俺の術に合わせて必要な分だけ血を流せば
それを供物としてアレックスの傷を癒やす事ができる」
「・・・血を流すだけなら・・耐えてみせるわ」
「いや、その後もある
一度供物となった人は永遠に対象の餌となる
つまり、アレックスが傷を負うたびに必ず必要分の血を与え
それを止めればアレックス自身に呪いが発動する」
「・・・・。」
ジーナはクライヴの話を聞き、沈黙を続ける
「クライヴ
呪いってどんな内容なんだ?
そもそもジーナさんの意志とは関係なく提供できない環境になっても
呪いは発動するのか?」
「ヒルト、呪いとは今までアレックスが負った傷の倍が一度に発動する
つまり、死を表す。
仮にジーナが先に寿命を全うすれば、それは呪いなど発動せず全て解消される」
「・・そんなこと・・しないで・・くれ・・ジーナ」
「アレックス・・」
掠れた声で必死に止めようとするアレックス
だが既にジーナの答えは決まっていた
「アレックス、あたしの夢はあたしの力で貴方を守ること。
貴方が私の自由を願い、戦ってくれたように
今度は私が戦う番ね」
「っ・・僕は・・それでも君を・・」
「傷が悪化するわよ
今はあたしを信じてほしいの、お願い。」
ジーナの言葉にアレックスは話すことをやめ
全てを受け入れ、ジーナを信じる
目を閉じて深呼吸すらジーナはクライヴへ右手を差し出し
揺らぎない目をむけた
「私ジーナは、アレックスを救うため
供物となることを誓います」