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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国


暴風に包まれて作り上げた巨大な剣はカンスの胸を貫き
魔眼と宝石を共に砕く
膨大な魔力が放出され、奇声を上げながら肉体が朽ちていく
どれだけ強靭な魔族でもコアとなる魔力の集中点を失えば灰と化す

風に乗って消えていくカンスは敗北した屈辱を感じながら
それでも不気味に笑う
まるでそれは負けた事も必要であったと言いたいように
素直に受け止める声
そしてインドリームへ発した最後の言葉は更に不可解だった
「その混沌の力・・・測りしねん」
闇の力が強力だと宣言するのであれば納得もいくだろう
だが明らかにヒルトへ向けた言葉である
インドリームの力ではなく、混沌の力と言った
見方や言い方の違いではなく、カンスはインドリームが知らない何かを知っており、それを含めて混沌の力と言ったのだろう
どういう意味で言ったのか、確認する術はなかった
既に跡形もなく消え去ったカンス
ヒルトは気がかりな言葉を告げて消滅したことで
勝利した気にはなれず、暫く沈黙しながら考え続けた

「っ・・勝った・・か・・」
「!」

1人の消えかけた声で意識を現実に戻し
すぐにその声の方へ目をむける
そこには魔獣化が解け、元の姿に戻りつつも
傷だけは癒えずに大量に血を流しているアレックスが仰向けで倒れていた

「アレックスさん!」

すぐに駆けつけるヒルト
更にユリエフに続き全員が集まり、カンスが倒れた事に気付いたユーインが結界を解く

真っ先に駆け出したのはジーナであり
ヘイデン、ユーインも様子を伺う

そこにはカンスを倒し、喜ぶべき姿のインドリームが
瀕死のアレックスを囲いながら必死に治癒をしようとしていた
「うそっ・・アレックス?!」
「ジーナ・・」
口元を両手で隠しながら青ざめるジーナ
ヒルトは目を合わせる事が出来ず
下向きになりながら両手で傷口を抑える
勿論塞がるはずもない
直径10センチほどの穴はアレックスの胸を綺麗にえぐり取り
内臓や骨すら見当たらない
呼吸器官を無くしているにもかかわらず話せている奇跡
闇堕ちとして強靭な肉体を持っているからこそ即死しなかったのだろう
不幸中の幸いと思える現状
それでもヒルトはユリエフに治癒を頼むこともできなかった
天族の治癒は光を使用した術であり、それを闇の堕ちや魔族に使用するとかえって拒絶反応を起こす
打つ手がなく、歯がゆい思いに悩まされている中
彼だけは冷静だった
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