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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




ユリエフは水晶の刃を防ぐため、光の壁を即座に作り上げる

「効かん!」

カンスは更に魔力を注ぎ込み、巨大化した水晶は紙切れを破くように光の壁を簡単に貫いていく

ガラスが割れるような音を響かせながら破壊された壁を見て驚きを隠せず、目を見開くユリエフ

ヒルトはカンスの宝石を貫く姿勢へとっていたことから
すぐに水晶を防ぐ姿勢へ変えることはできない
全てを見据えたカンスは勝利すらも目前だったことから
余裕の笑みを浮かべる
その笑みは水晶がヒルトに致命傷を負わせれる事だけではなく
ヒルトの背後から襲いかかるアレックスが見えていたからだ

完全に魔獣化したアレックスの姿はキメラへ変貌し
鋭い爪と牙をヒルトへ向けていた

「?!」

ヒルトは背後から感じる殺気に気をとられ、急いで振り向く
赤く光る獅子の目はヒルトを映し出し、そこからは完全な敵意が向けられている

「アレッ・・ーーー」

「ヨケロ・・ヒルト・クローズ!」
「?!」
聞き間違えるはずのないアレックスの声が
確かにキメラの中から聞こえた
流暢に話せていないが、確実に意志を持った言葉だ
キメラはヒルトを襲う事なく、寸前で体勢を変え、避けながら
盾になるように前へ身を乗り出し、胸部に巨大な水晶の刃が貫かれていく

「なに?!」

「アレックスさん!」

闇へ堕ちたと確信していたカンスは自我を持ちつつも
ヒルトを庇った事に動揺する
水晶の刃はキメラの骨と肉を貫き、黒い血しぶきを傷口から吐き出す
魔獣のもがき苦しむ声が結界内に響き渡る
悲鳴に近い声を発しながら、それでもアレックスは最後の力を振り絞る
「《ライジング・バルフォースト》!」

咆哮と共に落雷を落とし、カンスの胸の魔眼は一瞬視界を奪われ、宝石には僅かにヒビが入る

「イマダ!行け!」

アレックスは口から血をこぼしながら必死に叫んだ
それはヒルトが力を最大限ふるうのに十分すぎるものだった
風を爆風のように拭き荒らしながら
崩れかけていた体制を空中で整え一気にカンスへ近づいていく
「インドリームヨ・・俺達ノ夢ヲ・・叶エテクレーーーーッ!!」
「任せてくれ、アレックスさん
そして、ありがとう・・!」

「ぐっ!クソがっ!」
カンスは防ぎようのない一撃が放たれる予感がした

「風よ!悪しき魔を除き去る退魔の力を我に授けよ!
《ウィンド・フルェクション》!!」

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