第9章 ディオン連邦共和王国
「私も取り乱してしまいましたが、まだ戦えます!」
「俺もイリヤもこれくらいの傷、なんともないぜ」
「そうだよ!
みんなで力を合わせて戦おう」
アラン、ライセイに続いてユリエフ、ジェイク、イリヤは武器を構えながら意気込んでいく
「うん、皆んなで行こう!」
ヒルトは強く揺るがない瞳で全員を見つめ、大剣を構えた
「アランはライセイと協力して両腕を削り
ジェイクとイリヤは足元を固めて、動きを封じる
ユリエフは光の浄化を使って闇の霧を少しでも晴れさせてほしい!」
「了解!」
全員がヒルトの指示通りに一斉に動いた
アランは水を細い蛇のように蛇行させながら
カンスの両腕を縛り、激しい電撃で巨大な腕を切り落としていく
悲鳴を上げながら高速再生する腕に、ライセイは傷口に継続的に雷を放ち、一瞬たりとも隙を見せなかった
足元はジェイクの灼熱の炎とマグマとイリヤの岩石が纏わりつき
身動きが取れず、高温によって皮膚組織が溶けていっていた
「光よ、悪しき闇を晴らしなさい《シャイニング・カストロネベス》!」
ユリエフは魔導弓を天に向かって飛ばし
光を纏った弓は輝きながらカンスの頭上で眩い光を放った
「くそ!」
目を隠す両腕がないことから6つの目は光に直撃した
下級魔族であれば失明して目は溶けていただろう
だがカンスは中級魔族のため、6つの目のうち4つは溶けかけていたが
瞬時に傷を再生させ、残り2つの目で1人の存在へ注意をむける
だがその存在は姿を見せず、霧が晴れても見当たらない
「どこだ・・どこに姿を隠した・・ヒルト・クローズ!」
カンスは苛つきを見せながらヒルトを目視で探そうとする
だが風で姿を隠していたことで気づかれることなく
一気に距離を縮めるヒルト
霧が晴れた事で胸の宝石は露わになり
大剣が届く距離まで来たとき、宝石の中に映る魔眼と目が合った
「見つけた」
「⁈」
魔眼から禍々しい光が放たれ、光を浴びたヒルトは風で隠していた姿を現していく
「風が・・!」
「この魔眼の前で小細工は効かん!
その虫のような体をつき抜いてやろう!」
カンスは巨大な水晶の刃を作り出し、勢いよくヒルトへ目掛けて飛ばした
「ヒルト君!」