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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




「はっはっはっはっ!
では見せてやろ、そいつに根深く染み付いた闇の力を!
いでよ、魔獣キメラ!」


ドクンッ
「!」

カンスの命令に従うようにアレックスは己の鼓動音が強くなったことがわかる
一度の鼓動だけでも心臓へ痛みが伝わる
意志とは関係なく肉体が内側から変化していくのがわかる

「俺の体に・・何を・・した?!」

「貴様の中に残るキメラの血と闇を呼び覚ましてやってるのじゃよ!
まさか先に飲ませた分だけが全てだと思っとるのか?
であれば外れじゃな、貴様はすでに試合前にも飲んであったはずじゃ!」
「まさか・・・あの時の薬がっ?!」

アレックスは試合前に鍛冶室でカンスから渡された薬瓶と
その中の液体を思い出す
人間種の秘薬といわれ、傷を治すといわれ、迷わず飲み干したあの
液体の正体を知った瞬間に寒気が走る
どうすれば疼く闇を抑えれるのか必至に考えつつも
疑いもなく見知らぬ液体を飲んだ己を心の中で責める
それでも問題は解決されず、体から骨が変形する音が響き
目前に立っているヒルトは唖然としている

「キメラの血を一滴でも飲み、ワシの魔眼を見れば
貴様の末路は闇に堕ちるのみだ!
どれだけ足掻こうと無駄なのこと。
諦めるんだな、アレックス!」
「くっ!」

「アレックスさん!」

嘲笑いながら語るカンスを睨むアレックスの目には
憎しみと怒りという負の感情がみえる
誰が見てもアレックスが完全に暴走するのは目に見えていた
本来ならアレックスとの共闘を諦め、カンスを撃退した後に始末ふるのが普通だ
それでもヒルトは強敵であることカンスを倒すよりも
アレックスの心配をしながら、風の防御壁を作り
いかなる攻撃も効かないように対策をする

己の闇を抑制する事にしか意識が向かない状況でも
ここまでするヒルトに対して、アレックスは簡単に闇に堕ちてはならない、カンスを倒す為の必要な情報だけは伝えなければならないと感じる

「奴の胸部に埋め込まれているのは・・宝石ではない
多くの獣族の屍で作り上げた・・魔眼だ」
「屍で作り上げた魔眼?!」
「あだ、僕はさっき・・魔眼の光に触れてから体と闇のコントロールが効かない。
恐らく・・魔眼は見たものの闇をコントロールする力を持っている」
「・・・」
「ヒルト・クローズ、奴に近づくのは危険だ
僕の・・ようになって・・・っ!」


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