第9章 ディオン連邦共和王国
振り落とされた腕を避けながら最初に迎撃へでたのは
アランとライセイだった
「集え、悲哀と生命の根源たる水よ!《アクア・ルナ・レパルス》!」
両手で握っていた曲線をえがいた双剣から
水が溢れ出し、カンスの腕を囲みながら中で激流を起こして表面の水晶を削っていく
「雷よ、多なる裁きを下せ!《ライジング・ファールダウン》!」
雷を纏ったライセイは槍を突き出しながら水の中に突撃していく
水の中に入った直後、雷の威力は増して水流の道を辿って
電撃が水晶の腕を切り刻んでいく
更に槍で砕いた水晶の破片をジェイクが炎で一気に燃やし溶かしていく
「いい感じだな、ジェイク、アラン!」
「おう!」
「でもまだ腕一本よ
能力もまだ使用していない段階なんだから、油断はできないから!」
結界の壁に足をつけて張り付くライセイと
水、炎を周囲に囲みながら地上で構えるジェイクとアラン
「フン、腕くらいすぐに回復させれるわいっ!」
カンスは切られた腕に魔力を注いでいく
僅か1秒で再生した腕は更に強化されて生み出され
隙なく鞭にてアランとジェイクへ攻撃していく
鞭を燃やしながら回避していくジェイクは
足元に忍んでいた別の鞭に気づかず足元に絡まり、毒の液体が皮膚を溶かしてゆく
「っ・・!
くそっ!」
痛みで顔が歪んでいくジェイク
カンスは溶けていく足を更に強く縛り、結界の壁に叩き付け
空中に水晶の剣を作り上げ、一斉に集中攻撃を行う
先は鋭く、刀身から剣柄や剣格の区別はなく一色の黒い水晶の剣がカンスの指の動きと共に動き
ジェイクの腕や肩にあたっていく
「くっ!」
「ジェイク君!」
すぐに駆け寄るユリエフにカンスは更に水晶の剣を作りあげて追撃を行う
「《ヘルファング・アリジリスト》!」
「!?」
アレックスの咆哮によって浮かんでいた水晶はガラスのように簡単に割れてゆき
己の身体能力も低下した感触が伝わった
腕や足は重く、魔力を使用した術をすぐに使うことはできない
カンスはアレックスの能力により身体能力低下に陥ったことを理解する
「小賢しい真似を!」
イラつきを見せながらカンスはアレックスを睨む
「僕がいることを忘れられては困る
その胸に埋めている宝石が弱点だと、僕が知らないと?」
「!」
「灯せ、《ライジング・バルフォースト》!」
「なに?!」
