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IN DREAM2

第9章 ディオン連邦共和王国




ヒルトはクライヴの隣で見た光景をありのまま話し、考え込むクライヴ
そしてアレックスの血管の中に黒く濁った血が混じっていることに気付き、発動していた抑制術を解除する

「まさか・・その液体は魔獣キメラの純血か」
「魔獣キメラ?」

クライヴは焦りを見せながら語るその言葉に
ユリエフ以外のヒルト含めるインドリームは理解できていなかった

「魔獣って、闇の世界で生息する獣のことだよね?」
「キメラ、か
聞いたことあるけど詳しくはわからねぇな」

頭をかしげながらつぶやくイリヤ、ライセイ

「キメラとは獅子の頭に背中から山羊の頭を生やし、尻尾が毒蛇になっている姿をし
魔法と強靭な肉体をもって多くの種族を貪り尽くす魔獣です
それは闇族でも捕食の対象とされており、全種族の共通の敵であります
ただ、姿を見せるのは決まって満月の夜だけであり
生息地域も闇族の領土内が多かったことから
危険視していたのは主に闇族でした」

「ユリエフの説明通りだ
闇の神にとってみればダニのように興味がない獣だったことから、直接討伐命令は下されなかったが
接触すると厄介な魔獣で、闇族内では個々で討伐を図ったが
どれも失敗に終わっていた」

「うそだろ・・クライヴ
そんな魔獣の血を飲まされてしなってら・・・!」
「あぁ、その魔獣と同化してしまう」
「!」
「だからこそ、ついさっき飲まされたのなら
今から抜き取れる可能性がある」

闇でナイフを作り上げ、自らの左手の平を切りつける
傷口から僅かに流れる血に命令式を与え、血の雫を操り
アレックスの口の中に入れるクライヴ

意識が朦朧とする状態では一滴の血を口に入れられたところで
違和感を感じない状態であることをいいことに
アレックス体の中にクライヴは己の魔力を浸透させていく

「―――――」

クライヴは沈黙を続けながら切りつけた左手の指だけを
小刻みに動かし、まるで糸を引いているように魔力を操る

黒く染まっていた血管には小さな魔術文字が流れ
それはアレックスの全身に及ぶ

「クライヴ、これは一体?」
「アレックスの体内に俺の血と魔力を流し込み異物を探している。
この魔術の文字が浮かんだ箇所はキメラの同化が進んでいる証拠だ」
「!」
「それでは全身が同化しかけていることになります」
「あぁ、だからこそ、アレックスには悪いが
少し堪えてもらう」



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