第7章 闇の神
「あの女は、貴方だけは守り抜こうとしていましたよ。
私が天族の洗脳でもかかったと勘違いし、刃をむけてきましたが、簡単に返り討ちにさせてやりましたね・・・
たしか、私の最後の記憶は、母親面した女が
泣きつき、ライセイだけは助けてほしいと懇願していたようなー・・・
まぁそれもライセイをみると思い出しますね
貴方はあの女にそっくりですから。」
ギリッと歯ぎしりしながら、こらえるライセイ
「泣き叫ばれるのはあまり好きではなくてですね
あまりにも狂ったように暴れるので、すぐに声がでないようにしたのですよ」
トレイタスは親指だけたてながら、首を横に切るようなしぐさをし、どうやって殺したのか
ライセイにわざと想像させた
「トレイタス・・・てんめぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
莫大なエネルギーで雷を全身から放出し、怒り狂うライセイ
その突撃はライセイの全力が込められており
確実にトレイタスを殺す勢いで攻撃を繰り出す
雷の鞭
槍による神速を超えた音速の追尾型の回転攻撃
放たれる雷の球体型の追尾弾
磁力を利用し、浮かんでいる遺跡の銅像や瓦礫を瞬時に移動させ、体勢を崩していく
「ほぉ・・やりますね」
ライセイの攻撃をかわし、防ぎ、はじき返すトレイタス
だが、一瞬足場を失い、体勢がくずれた瞬間
ライセイの巨大な槍がすきを見せず
まっすぐトレイタスの心臓を貫き、壁に勢いよく叩き付けられる
「はぁ・・はぁ・・」
突発的に魔力を消費したが、トレイタスに致命的な一撃を与えたことで
ライセイの表情は明るくなった
「やった・・」
壁に突き刺ささり、腕の力が抜け、ぐったりするトレイタス
その様子を下からみていたヴァン、ルキュリアは少し称賛するような言い方でライセイの実力を評価した
同じ場所から見上げてその光景を目にしたアランは
確実にライセイの勝利のように思えた
だが、トレイタスの両手はゆっくり動き
突き刺さった槍を自力で抜き始めた
「な?!」
目を疑うライセイ
龍族でも心臓を貫かれれば、生きているはずはない
だが、トレイタスは痛みを感じることなく
表情を変えず、血を流しながら槍を完全に抜き
下に浮かんでいた瓦礫に降り立った
その血まみれの右手には、ライセイの槍を構え、不気味な笑みをライセイへむけた
「うそ・・だろ」