第7章 闇の神
先まで向けられていた怒りの表情は鎮圧され
恐怖の表情へ歪んでいくライセイ
「なにを驚いているのですか?
私はもう、貴方のしるトレイタスではないのですよ
そんなこと、一番理解しているでしょう」
「心臓を貫いたはずだろ・・」
「それがどうかしたのですか?
心臓を刺して死ぬのは下等な生物だけですよ、ライセイ
貴方も、鍛えればこれくらい可能であり、その可能性を秘めているのですから」
「は・・はは、嘘つけよ
俺はお前と違う。
化け物なんかじゃない・・!」
「それはどうですかね」
槍を高速に回転させ、衝撃波がライセイを襲う
腕や足の腱を切られ、立つ力を失い
そのまま落ちていくライセイ
その真上から、トレイタスは槍を投げ落とし
ライセイの心臓をめがけて突き落とした
「っ!」
とっさに身を翻し、急所を外し、槍は左肩を貫通し、急速に落ちていく
「水よ!
ライセイを守りたまえ!」
アランの声にこたえるように、水はどこからか湧き溢れ
ライセイの体を包み、地上におちる衝撃を緩和した
アランの近くに落下したライセイに意識はあり、水に包まれたおかげで槍の傷以外、ほとんどが無傷だった
「ライセイ・・!」
「っ・・・くっそ・・」
「おや、なかなかやるではあいませんか、ライセイ
――――嗚呼、もうこちらは片付いていましたか」
血まみれのトレイタスは口元だけハンカチで拭き
笑顔で悠長に歩き、ヴァン、ルキュリア、アラモードと合流する
「ったく、すんげーな、お前の弟はよ
多少手を抜いたとはいえ、お前に一発くらわしたんだからな」
「それはどうも。
ですが、ライセイの心臓に槍が当てれなかったのは残念ですがねー」
腕を組みながら話す内容はとても残酷であるが
そんな雰囲気をみせないトレイタス
むしろ探求心に満ちた表情で話していた
「とりあえず、あとはあの方しだいですね
・・・おや、あの風のインドリームが必死になって
声をかけている相手は闇堕ちではありませんか
それも大量出血して瀕死状態ですね」
「?!」
トレイタスの発言に、耳を疑うアランとライセイ
「ありぁ、風のインドリームを闇堕ちがかばった結果ってところか」
「死んじゃうのかな~闇堕ち」
「さて、どうだろうねー
僕達じゃ、闇の神様の考えなんてわからないよ
今はとりあえず、見守っておこうよ」