第7章 闇の神
「っ・・・―――――」
アランは口をゆっくり動かし
屈辱的なことを言わされ続けた
それはインドリームとして、水族として
口にはしたくない、恥だった
その様子をあざ笑うヴァン、アラモード、ルキュリア
唇を噛み、強すぎる力で血を流しながら
それでも屈辱的な思いを押し殺し
イリヤとジェイクを守る為、言われるがまま、その場を動くことができなかった
そのころ、遺跡の上層の別の空間で
黒い雷と、閃光がぶつかり合い、その速さは人の目で終えず
見えたとしてもそれは数秒前の残像
そんな異次元な速度で戦っていたのは
トレイタスとライセイだった
二人の衝突でその場の空間には磁力が溜り
崩れた遺跡の壁の石像は宙に浮いたまま、静止していた
浮かぶ遺跡の上に軽々しく降り立つ両方
トレイタスは2メートルほどある刀身の刀を構え
ライセイも同じく2メートルほどある槍を構え、にらみ合っていた
正確には、睨んでいたのはライセイだけであり、トレイタスは余裕の笑みを浮かべている
「・・・その刀、黒い雷・・本当にトレイタスなんだな」
「おやおや、今さらなんですか
まさか、私が偽物だと?」
「そのムカツク口調からするに、俺が探していた兄貴だとは思うさ。
けど、信じれない・・
俺たち龍族を異界の狭間に送り、虐殺し、俺から全てを奪ったお前が、どうやって闇の神を復活させるに至り
堕天使と組めているのか」
「――――あなたが確認したことは、そんなことですか?」
「!」
「はぁ・・」
呆れたようにため息をつき、馬鹿にしたような口調で話し続けるトレイタス
「本当に聞きたいのは、なぜ、あの日、私が一族を裏切り、貴方を裏切り、命を絶つことをせず、魔力の大部分だけ奪って姿をくらましたのか・・でしょう?」
「っ!」
過去の話をされると、ライセイの右手が疼くような感覚があった
痛みなどない
あるのは、心の傷――――
それでも、トレイタスは追い込みをかけるように話し続けた
「嗚呼、そういえばあの日
貴方がとてもしたっていた母親を殺した日の話をしていませんでしたね」
ピクッとライセイは動きを止め、疑ったような目でトレイタスを見つめた