第7章 闇の神
アラモードが作り出した猛毒の巨大な針に、ルキュリアの魔法が何重にも重ねて組み込まれ、針は弾丸へと姿を変え
更にヴァンの能力とルキュリアの魔法によって巨大なライフルに弾は装着された
砲撃の50倍
火力は通常の銃撃の100倍
魔力によって増幅された弾は莫大な威力を秘め、インドリームを一層するため目掛けて放たれた
岩の中で必死に抵抗するイリヤ
その腕の筋肉ははちきれそうになり、血管は浮き、
踏ん張る足が滑り転びそうになるほど、姿勢が崩れてきている
「イリヤ・・」
「あたしの魔力も注ぐわ!」
「ダメ!!」
「!」
岩が砕けそうになるのは、イリヤの魔力がなくなりかけているから
そう、思ったアランは己の魔力を注ぎ込もうと助力を申し出るが
イリヤからは一切の援助は不要であると拒絶される
「この岩を構成するのに、イリヤの魔力しか通用しない・・・
アランちゃんの魔力を加えられたら・・一瞬で崩れちゃう!」
「っ!」
ただ守られているしかできないアランは
歯を食いしばり、イリヤの背中をささえ、姿勢を少しでも楽にしようと優しく、心強く手を押し当てる
「アランちゃん・・」
「あんた一人で、無茶はさせないわ」
「あ、ありがとう!」
目を輝かせながら、弾丸を抑え続けるイリヤとアラン
外からみていたルキュリアは飽きたように集中力をきらし
軽い口調で話した
「ねぇ、もういいかなぁ」
ヴァンは両手の平を双方にひろげ
「ご自由に。」
そう一言つぶやいた
黙ってみていたアラモードもため息をしながら、答えた
「ルキュリアちゃんの自由にしていいよ」
「やったぁ~!
じゃあ、遠慮なく・・。」
腰にかけていた小さな杖を取り出し、ルキュリアは魔方陣を描き、呪文を唱えた
アラモード、ヴァンにも聞き取れない呪文はすぐに唱え終えられ、一つの呪印が目前に浮かび上がった
「散開・八式≪スパイク・ブレイク≫」
ルキュリアの命令術式と同時に、岩を砕こうとしていた弾丸は光り、強力な爆発がおき、先の威力の更に3倍の力で
小さな銃弾となり、一気に岩を砕いた
「っ?!」
なぜ岩が一瞬にして砕かれたのかついていけなかったイリヤは
目を丸くし、はじかれた血まみれの両手より
目前に襲ってくる無数の銃弾を捕えた
土の壁で防ぐ暇はない
完全に貫通する
――ー死ぬ
脳裏のそんな悲惨な結果が浮かび上がる
