第7章 闇の神
息を切らしながらイリヤは必死にアランとジェイクを含めて
土の壁をつくり、針を防いでいる
「そんな土の壁、いつかは脆く散って僕の針が貫通するんだよ
土族の君なら、僕の能力は知っているはずだよ?」
「知っているよっ・・土族で最強の呪術師として名を響かせ、ゴーレムの攻撃回路を発明し、鍼師として医療界にも力を有していた元族長、フェアリス・アラモードさん!」
「!」
「イリヤの、元族長!?」
イリヤはアラモードの素性を知っていること全て言葉にし、大声で答えた
その内容に、ジェイクとアランは耳疑ったが、それでも確かに聞き取った内容に間違いはなかった
それはアラモードの満足そうな笑みから、感じ取れる
「その通り。
だったら、君が知らない僕たちの力を見せてあげるよ!
黒針・羅針剛ーーーー
ルキュリアちゃん、頼んだよ」
「はーいよ!」
ルキュリアは背後に無数の魔法陣を展開させ、それは暗く不気味に光りだす
危険を感じ取ったアランはすかさず水の糸で魔法陣を破壊していく
「くっ!」
それでも数が多く、破壊が間に合わない
そして気がつけば箒の上に立ったルキュリアは
空中に浮かんでおり、人差し指を真上にかかげ
ニヤリと笑った
「天上天下、唯我独尊!
我らの上に敵はおらずーーーー」
「我々だけが手に入れた頂
それはかの強力なゴーレムを打ち滅ぼし、天から授かりしこの一貫、受けてみよ」
ルキュリアと合わせてヴァンは続けて唱え
ルキュリアより更に上空へその身を浮かせ
構えられた銃は今までのものと比較にならないほど巨大で
金と銀の髑髏が装飾されている
「あれは・・やばいっ!」
銃身は10メートル程伸び、イリヤ、ジェイク、アランを標的に捉えた
咄嗟にイリヤは何重にもなる岩の壁でその場を覆い
隙間なくドーム状の岩が弾丸を防ぐ
「っ!」
両手を岩に当てながら、砕けないように必死に魔力を注ぐイリヤ
「お、やるじゃねぇか」
宙にうかぶヴァンの機械の足裏から炎が出力され、地上から50メートル離れた高さからアラモード、ルキュリアと共に眺めている
小さな針を集めて雲の上に乗る仙人のような格好で眺めるアラモード
その目は冷たく、同族に向けるものではなかった
「いけいけー!
やっちゃえ~!」
両手を前に前後に動かし、拳をにぎるその仕草は
まるで試合を応援する観客のような空気だった
