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【HQ】サンカク。

第1章 三角形 case1


私が止まった事で京ちゃんが振り返る。

「わざわざ梟谷まで来てくれた黒尾さんに、用が済んだらとっとと帰れって失礼じゃないの?京ちゃん、なんか変だよ!」

いつもの甘えた私の我儘じゃなく、京ちゃんに怒鳴るのは初めてかもしれない。
勢いを付けて手を振り払った。

「…俺も行くよ。黒尾さん、それでいいですか?」

私が引かないのは分かったようで、溜め息混じりの了解と黒尾さんに向けての質問。

「あー…。ま、いっか。」

黒尾さんの返答に違和感を覚える。
私だけを誘うつもりだったように聞こえた。

私達をからかうのを楽しんでいるんだからペアでいた方がいいんじゃないですか?と聞きそうになって口を塞ぐ。
こんなの、口に出したらまた京ちゃんが機嫌を悪くしそうだ。

「…で、どこに行きます?」

言いかけた言葉を飲み込んで、違う話題に転換する。

その場で三人で話をして、結局ファミレスに決まった。

行き先が決まると次にあるのは勿論移動で、目的地はさして遠くはないが不安がある。
怪我をしてからは登下校とかの必要以外に歩いていない私の足。
二人に心配掛けたり、迷惑掛けたりしたくなかった。
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