第5章 ※三角形 case3※
少し経って戻ってきたリエーフは、明らかに落ち込んでいて。
「何があったの?」
さっきの話が続かないのを幸いとして、気を遣うように声を掛ける。
「さくらんトコの会社の駐車場に車停めてて。夜久さんから早く回収しろって…。」
「…はい?」
頭が足りないとは思っていたけど、まさか、ここまでとは…。
取引先から直帰は良いとしても、車を取引先に停めっぱなしは駄目に決まっている。
しかも、さっきお酒飲んでたような…。
どうやって回収するつもりなんだろう。
色々な面で不安になってきた。
「リエーフ、夜久さんに来て貰って、運転して貰いなさい。飲酒運転、ダメ、絶対。」
こんなに考えが及ばないならば、怒られたくなくて自分で運転してしまいそうだ。
最初は、夜久さんに連絡するのを嫌がっていたけど、淡々と説教をしたら渋々折れて電話をしてくれた。
私が一緒に謝る条件付きで、だけど。
強引に食事に連れて来られて、私が共犯扱いとか納得は出来ない。
でも、飲酒運転させるよりはマシだから了解して、店を出ると会社の方に戻る。
駐車場で夜久さんを待つ間は、よっぽど怖いのか、リエーフが大人しかった。