第5章 ※三角形 case3※
何かしらの返事をしなきゃならない。
多分、このまま黙っていても、帰らせてはくれない。
「ごめん。ちょっと、考えさせて。」
やっと出たのは、保留という狡い選択。
「なんでだよ?俺とさくらは両想い!今から考える事なんかあるのか?」
リエーフは、それを許してはくれなかった。
「私、他に彼氏が居るんだよ?そっちの事も考えたいの。だから、時間が欲しい。」
「浮気ばっかして、さくらの事、泣かせまくってるやつより、俺の方がいいに決まってる!
それに、さくらは木葉さんと結婚したいって、答えらんなかったじゃん。俺がいいからじゃないのか?」
理由を説明しても、しつこいくらい、グイグイと迫ってくる。
しかも、痛い所を突いてくる。
解決策が浮かばなくて、言い返し方に迷っていると、リエーフのポケットから音が鳴った。
「なんなんだよ、もう!こんな時に!」
音の正体、スマホを取り出すリエーフ。
着信しているらしい画面を見た途端に、青ざめて黙り込んだ。
「ごめん!ちょっと電話してくる!」
出なくちゃならない相手だったみたいで、慌てて席を立ったリエーフを見送る。
答えを、これ以上急かされなくて済んで、安堵していた。