第5章 ※三角形 case3※
玄関で、とか、ちょっと無理。
外に声とか漏れちゃいそう。
どうにかして、移動だけはしたいけど、私を弄りたいモードになっている秋紀に、普通の拒否は通用しなさそうだ。
「…ベッドで、シたい…な?」
考えて、やっと出せたのはこのくらいの言葉で。
私から誘われたかったようだし。
これに、少しの行動を付け足せば、多分移動くらいしてくれる。
秋紀の手を掴んで、着いてきて欲しいと頼むように軽く引いた。
「なんで今日は、こんな可愛いんだよ…。」
手を握り返されて、2人で向かうのは寝室。
ベッドに上がると、弾みでタオルが解ける。
晒された私の身体に、すぐに触れてくれる事は無く、枕元に何かを置いていた。
そちらに目をやると、見た事のある四角いパッケージ。
「ソレ、買ってきたの?」
「おぅ。」
「今まで、無かったら生で挿れてきたのに?」
「俺、デキ婚狙ってたからな。でも、ちゃんとプロポーズしたし?
ちょっと、新婚生活もしたいワケよ。デキてたら、色々バタバタするみたいだしな。」
「あ、そう。」
ここにきて、何故か普通の会話が出来てしまって、色気のある雰囲気は飛んでいった。
ついでに、さっきまで感じていた羞恥心も、完全にどっかいった。
残ったのは、罪悪感だけになって、隠すように胸元に手をやる。
「コラ、隠すな。全部、俺が上書きしてやるからさ。」
すぐに手が外されて、下りてきた唇が触れたのは…。
私の唇だった。