• テキストサイズ

【忍たま乱太郎】かぐや姫

第2章 月はまだ見えない


……………ほーら、こうなることは予想済みだったんだ。
食堂のカウンターを挟んで会話をする椿と生徒達を横目に、土井は味噌汁をすすった。
何度も椿さん椿さんと呼ぶ者、可愛いねと口にする者、手まで握る者…雷蔵、ではないな三郎か。ついでのように全員が手を握らんでもよいではないか、私だってまだ…


「土井先生。」
「なんですか?山田先生。」


少し不機嫌な声色で、隣に座っていた山田に返事をする。会ったばかりなのに、彼女が絡むと自分の言動がこんなに変化するものかと、少し後悔した。


「あんた、それ、味噌汁全部食べたのかい?」
「食べましたけど…なにか?」
「いや、ちくわが入っていたんだが…」


山田の言葉に恐る恐るお椀の中を確認するも、すっからかんになっていた。
食べた!食べた!食べてしまった!山田先生、言わなくてもいいじゃないですか!
青い顔をして口を押さえる。
山田は笑いながらお茶を差し出した。


六年生は皆よりも遅くに食堂にやってきた。
本当はもっと話をしたかったが、時間も遅いのと自分も片付けがあるので叶わなかった。
そういえば一人元気なのがいたなと思い出し笑いをしてしまう。

だけど。

きっと私のことを、疑っている人もいるんだろうな。
無理もない、素性のわからない新参者。そう簡単に心を許せないものだろう。
皆を騙したいわけじゃない、けど私からは言い出せない。
そう布団の中で思想に更ける。
見知らぬ部屋、見知らぬ布団、今日からここが私の居場所。
とても暖かいな。そういえば布団で寝るのは久しぶりだな。
柔らかいその感触を確かめるように胸に抱く。
その夜はそのまま眠りについた。
/ 71ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp