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【忍たま乱太郎】かぐや姫

第2章 月はまだ見えない


聞けば私より1つ年下の小松田君、そう呼ばせてもらうことにした。本当は秀作君と呼びたかったが、とても呼ばれなれてないとのことで本人から却下された。
今まで大人の中で生きてきたので、年の近い彼と話をするのはとても嬉しかった。
小松田君に案内され、食堂のおばちゃんに事情を説明する。
おばちゃんは大変助かるわと喜んでくれた。


「でもその格好じゃねぇ…お風呂に入ってきたらどう?」
と言われ、体も綺麗にした。
着物はボロボロだったため、小松田君とお揃いの忍装束を貸してもらえた。
ちなみに胸に『事務』の文字はない。


食堂に戻ると生徒の姿はもうなかった。
まもなく昼時も終わり、午後の授業が始まるためだという。
そんな中、黒い装束の男性二人が目に入り、挨拶を交わす。
食堂のおばちゃんが食べなさいと出してくれた昼食を、小松田君も交え頂くことにした。
正直、小松田君がいてくれて助かった。聞きもしないことをペラペラと喋ってくれたので、初対面の男性二人と気まずい空気にならずにすんだ。
話によると、二人は一年生の担任の先生で山田先生と土井先生。
受け持ちの一年は組に手を焼いていると言っていたが、その表情は優しい。


「私もは組の皆に会ってみたいな。」


そうこぼすと二人は、嫌でも会えますよと笑ってくれた。なんだか、楽しみだな。弟みたいな感じかな。


「それでは私は授業があるので失礼。」
と言って、山田先生は去って行った。





「では我々も行きましょう。」
小松田君と別れ、土井先生が案内してくれることになった。
別れ際、小松田君にお仕事頑張ってと声をかけると、えへへと笑ってくれた。十六才の男の子に失礼だろうか、だけどやっぱり可愛いらしい。


「しかし、その格好で本当に良かったのかい?」
折角の美人なのに…と土井その言葉は飲み込んだ。
汚れを落とした彼女は本当に綺麗だった。陽に当たるとキラキラと輝く長い茶色の髪。化粧をしているわけではないのに、目鼻立ちははっきりとし肌は透き通ったように白い。話し方や仕草は品があり、人を惹き付ける魅力がある。
現に少なからず、自分も彼女に惹かれているのは否定できない。
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