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【忍たま乱太郎】かぐや姫

第4章 一年は組学級会議


夕食時、いつものように椿から御膳を受け取ると、土井は山田の隣に腰を下ろした。
手渡される時、彼女が満面の笑みで渡してくれたことが気になった。
ふと手元に目をやると、不自然なあることに気がつく。

煮物の中に練り物が入っていない。
食堂のおばちゃんが、煮物に練り物を入れないことがあっただろうか、いやない。

山田の御膳を盗み見るが、それは一際大きな存在感を放っていた。

まさか!

はっとして椿に目を向ける。土井の視線に気付いた彼女は、先程と同じように微笑んだ。
椿が意図的に抜き取ったのだとわかった瞬間、彼女の気遣いに胸が熱くなる。

「ねぇ、土井先生元気になったみたいだね。」
「本当だ。ニコニコしてる。」
「山田先生の作戦が効いたんだね。」

山田の作戦の功績…ではなかったが、土井の様子に一年は組は安心した。
そこに嵐を呼ぶ男が近づくのに、気づきもせずに。



「三郎、本当に聞くの?」
「当たり前。だって一年は組だぞ?本人に直接聞かなきゃわかんないだろ。確かめたいこともあるし。」
「一年は組の噂は信憑性に欠ける、ね。」

三郎始め、五年生が食堂に入る。朝とは違って穏やかな空気が流れていた。
カウンターで生徒に御膳を渡す彼女を見つけると、三郎は意気揚々と話しかけた。

「椿さん。」
「あ、三郎く…」
「椿さん、恋人募集中って本当?」
「え、あの何の事だか…」
「おっと、すみません。この場で聞くことではなかった。ただそれが本当なら俺、立候補してもいい?」

空気が凍る。その僅かな変化を三郎は捕らえた。
なるほど、六年生全員に、土井先生まで…思った通り敵は多い。
三郎の突然の告白に、椿は顔を真っ赤にして困っている。

「いや、今のは忘れてください。あなたを狙う人たちへの宣戦布告だから。」

三郎の言葉に椿の顔が強張る。椿は三郎の手を掴むと、ちょっと来てと外に駆け出した。
これは予想外だったのか、三郎は珍しく驚いた顔をしていた。

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