• テキストサイズ

【忍たま乱太郎】かぐや姫

第3章 歌声


「今から"さん"付け禁止。敬語もダメ。私も皆のこと普通に呼びたいから。いいでしょ、はい決定ー!」
「はぁ?」
「なんだ、私は最初からそうしてるぞ。」
「モソ…別に構わない。」
「留三郎なんて"こいつ"って言ってたしなぁ。」
「あれは!言葉のあやってやつでだな!」
「まあまあ、いいんじゃない?仙蔵も。」
「好きにしろ。」

「ありがとう。」

素直にその言葉が嬉しくて、安心できて、気付いたら涙が出ていた。
皆には心配されたし、文次郎と留三郎はお前が泣かしたってケンカ始めるし。
でも違うんだ、十七年生きてきた中で初めて対等に付き合える存在を見つけられたからなんだよ。
私の大切なものがまた一つ、いや六つ見つかった。
隆光、外の世界はこんなに明るいんだね。





その夜はなかなか寝付けなかった。
いいことがあったから、興奮しているせいかも。
何度目かの寝返りを打つが、眠れる気がしない。
ふと窓の外を見ると、今夜は満月だった。

そうだ、少し外に出ても大丈夫かな。
音を立てないようにそっと中庭まで出てみる。
月っていいな。優しい感じ。見守ってくれている感じがする。
遠く離れた人と月を通して繋がれるかな。
今頃、同じ月を見ているかな。
「……隆光」




「………動いたな。」
土井は山田の言葉に頷く。その人物は警戒はしているものの、気配自体を隠すことはない。
どうする?
彼女が足を止めた。山田、土井は物陰に身を潜めその様子を伺う。
どうか悪い方へ向かわないで欲しい。彼女を疑いたくはない。
風が彼女の長い髪を揺らす。月の光の中でも輝きを無くさない美しい髪。

そして聞こえた。

まさか、それが

歌だったなんて




/ 71ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp