第1章 出会い
…………重い。
え。金縛り? 違うか。動けないやつだもんね。
や、待って動かないわ。
怖いお化けが目の前にいたらやだなーと思いながら瞼を持ち上げると、どアップの美形。
んん??
何故??
…………………………あ。今接客中だった。
え、嘘!何時だろ?!
お店に電話しなきゃ!と頭の中はアタフタと騒がしいが、がっちりホールドされているため身動き1つできない。
何とか起こさずに抜け出せないものかと奮闘してみたものの更に絡まっただけだった……。
うーん。起こしてもいいものだろうか……?
チラリとお顔を拝見すれば
きれいなお顔。まつげ長いし。
「どうもありがとう。」
突然聞こえた声とゆっくりと会う視線。
「え。なっ、きっ!???
てか、近い!!!!!」
至近距離で騒ぐものだから綺麗なお顔の眉間に皺が集まる。
「ちょっとうるさいよ。」
そう言って塞がれた唇は中々離してもらえない。
「エロいんやけど。誘ってる?」
そう言ってにやりと笑う唇は銀色の糸で私のそれと繋がっている。
「なっ、訳っ……ない、で、しょ。」
乱れた呼吸のせいで返答が途切れ途切れになる。