第3章 後編
「…ど…う…して」
目の前で崩れ落ちる王女。
ローの右手には、彼女の心臓が握られていた。
「これが、契約者の役目だからだ」
ローは倒れ込んだ王女には見向きもせず、上空を仰いだ。
空は暗黒に包まれており、その中心にいる生物こそ、ローが倒すべき存在。
既に破壊された国があったが、前回よりましだろう。
ローは軽く息を吐き出す。
…あと何回、おれは同じことをすればいいんだ
ローは遥か上空へと飛び立った。
…終わりのないこの戦いに、何の意味がある
ローの存在に気づいた闇の魔物は、すぐさま攻撃を仕掛けてくる。
…なぁ、誰か教えてくれよ
ローは攻撃をかわしながら、確実に奴との距離を縮めていく。
死ぬことの出来ないロー。
いや、そもそも生きているのかも分からない。
人でも霊でもないなら、一体何なのか。
ローは口元を吊り上げて自称気味に笑う。
長い眠りについて、起きて、誰かを犠牲にしてこの世界を守る。
…おれは後、何人殺せばいいんだ
ローの脳裏に一瞬ユーリが過った。
今回のようなことは初めてだった。
次は、選ぶ相手はおれが決めよう。
「…っは」
ローはROOMを発動させた。
次を考えている当たり、おれもどこか諦めているのだろう。
巨大なROOMは魔物全てを包み込んだ。
「さぁ、さっさと終わらせるぞ」
この下らない茶番劇を。
そしてお互い、また深い眠りにつくだけだ。
「……ロー!!」
ローが魔物の中に入ろうとした時、よく知っている声が聞こえてきた。