第3章 後編
「…ユーリっ!」
ユーリがローを支えながら外に出ると、ルフィが慌てて駆け寄ってきた。
無事にローを探すことの出来たユーリに、何度もお礼の言葉を伝えてくるルフィ。
「寧ろお礼は私が言うべきですよ。彼の、ローの居場所を教えてくれてありがとうございます」
ユーリはそう力なく微笑むと、取り合えず安全な場所まで移動することになった。
流石のユーリも色々と限界が来ていた。
だけど、そうは言ってられない。
ユーリとルフィは施設から離れた場所にあった小屋を見つけると、今は使われてなさそうだったので一旦そこに入ることにした。
「…ローをお願いします。私には、まだやることがありますので」
ローを寝台に寝かせると、休む間もなくユーリはこの場を離れる。
ルフィは無茶はするなと言っていたが、もう時間がないんだ。
ユーリは何度も大丈夫だと無理やり笑顔を作ると、引き留めようとするルフィを振り切って外へと出た。
目指す場所は、禍々しい魔力を感じる場所。
きっとそこに、ローはいるはずだ。
ハヤク…ハヤク…イカナイト
ユーリは己の手を見た。
黒く変色している手。恐らく全身の至る所が汚染されているのだろう。
だけど、そんなことはどうでもいい。
ユーリは宙に浮くと、一気にその場から飛び去った。
彼女の瞳は、赤いままだった。