第9章 Sugar9
「ねぇ流司、心羽ちゃんのこと好きなくせに、なんでこんなこと思わせるの?こんな顔させるの?」
彼女の問いかけに彼は、なにも答えなかった。
貴方にとって私は、どんな存在なの?
私が、泣いても、苦しんでも、どうでもいいの?
なにも喋らず、彼は突然私の顔を乱暴に上に向かせ、キスをした。
すぐに唇は離れて、私のほっぺを掴んでいた手を移動させて、柔らかく頭を撫でた。
「お前なら、大丈夫だと思った。昨日、話してもいいって言ってたし・・・。」
なにが、私なら大丈夫なのよ。
構わなくても、我慢出来ると思ったの?
昨日、あんなに怒ったのに?
確かに、話してもいいとは言ったよ?
でも、私に構わなくていいとは、言ってない。
どうして、私だけを見てくれないの・・・?
「ごめん。ちゃんと、お前のこと見てるから、泣かないで・・・。」
キスしてくれたから、許してあげる。
私は俺のものだって、見せつけてくれたんでしょ?
なら、貴方も私のものだから・・・。
「もう、泣かせないで・・・私だって、泣きたいわけじゃない。」
「うん・・・いっ・・・。」
彼の首筋に噛み付いた。
いつも貴方がするように。
ごめんね、衣装で見えるのに・・・。
今回のサスケの衣装は、胸元が大きく開いている。
公演までに日はあるけど、きっとこの跡は、それまでに消えない。
だって、口の中が血の味、するもん。
それを彼はわかっているはずなのに、止めもしないし、怒りもしない。
「怒らないの?跡、なかなか消えないよ?公演まで間に合わないよ?」
「お前だって付いてるでしょ?1箇所なんかじゃない、数えきれないくらい。それに、俺はお前のものだから。」
私たちってほんと、お互いに独占欲が強過ぎるよね。
きっとそれは、お互いにお互いを愛し過ぎているから。
そう、信じたい。
「本番の時は、ちゃんと隠してあげるから。」
「隠したら、付けた意味ないけどな。」
「サスケはそんな跡、ないでしょ?」
公演時期にはもう、傷は治ってると思うから、ちゃんとサスケにしてあげる。
それは、私だけの仕事だから。