第1章 砂漠の月00~70
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元就の家から家に帰る時、ブオンブオン、パラリラパラリラとやっかましいバイクの連中に包囲されました。
なんかこんな状況前にもあった気がするんですが、気のせいにしときます。
「明日も良い天気かなー」
「市、現実逃避をするでない」
ぐいっと元就の背に庇われた。前に出るなと言われて。
どうしようか、スマホをこっそり取り出しある人物にへるぷー
「晴久、時間を稼ぐがよい、あ奴が来る」
「お、了解っと」
厭らしい笑みを浮かべた…暴走族の総長だろうか?
前に出て来て私と月子ちゃんを舐め回す様に見て。気持ち悪いなぁ
ぱちりと一瞬目が合って、嫌な予感がする。
「よお、姉ちゃん美人だな。そんなチビと一緒に居ないで俺達と遊ばねえ?」
「チビ…」
ああああ、ちょっとこのお兄さん!元就が気にしてる事を!!
これは生かして帰れまい、と思った時に、遠くから聞こえるバイク音にほっと息を吐いた。
チンピラさんが何だ何だと周囲を見渡してるうちに、周囲をまたもバイクが囲むけど数が半端ない。
「遅い!姫若子!!」
「わーりい!遅れた!」
「月子、もう安心していい、長曾我部が来た、な?」
「元親先輩って…」
元親はここら一帯、もしくは都内の暴走族を纏めてる総長で
こう言う、チンピラを潰してるっつーか、お仕置きしてっつーか
良い暴走族?うん、意味わかんないね
「何だ手前ら!」
「おう野郎ども!!俺達のシマに入った馬鹿が勝手するなんてあっちゃならねえよなァ!」
『アニキー!!』
「西海の鬼、舐めて貰っちゃあ困るぜ?」
なんつーか…元親も相変わらずだなぁ。
月子ちゃんを連れた晴久と合流し。震えてる月子ちゃんをぎゅうっと抱き締めて
大丈夫だよと背中を撫で…わあ!?
「この、女が傷ついても良いのか!?」
男に思い切り引っ張られ、首元に宛がわれたナイフを見て思わず舌打ち。
この総長は、悪あがきを。
一瞬、元就が足でナイフを蹴り上げ。男は目を見開いたままかかと落としを脳天に食らって地に伏した。
「市を傷付ける者は我が許さぬ」
「市先輩ぃぃ」
大丈夫ですか、と思い切り月子ちゃんに抱き付かれ
大泣きしてしまい。しまった、気を緩め過ぎたなあ。
「市、黒羽達が心配してたぞ」
早く帰れと元親に促され、家に向かって走った。