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砂漠の月

第1章 砂漠の月00~70


「美味しそうね」
「えと、さっきの騒ぎでお渡しすることが出来なくて今出しちゃいました」
「うん、あれは、仕方ないわ」

準備が出来た器を見て優しく笑った市に、少しだけ申し訳なさそうな表情でお菓子の出所を伝える月子に苦笑し、頭を撫でると上に持っていきましょうかと告げる。
市がお菓子の乗った盆を、月子がお茶の湯のみが乗った盆をそれぞれ持ち、反省してしょげているらしい元就の母親に声を掛けてから二階に上がる。
部屋に行くと足音で気付いたらしい元就が扉を開けてくれて、月子と市は礼を言って中に入るとお茶とお茶菓子を配る。

「どうしたんだ、これ」
「晴久先輩が持っててくれたのが、コレなんです」
「あー……あれか。なんだ、作ったのか?」
「はい。買いに行く時間がなくて、作った物で申し訳ないんですが」
「問題ない」

迎えに行った時に見覚えのない物を見て晴久が問いかけるのに、月子が答えている間に元就は既に口に入れていたらしい。
無言で食べていたが、月子の申し訳ないの言葉に間髪入れずに言葉をかけ、きょとんとした月子に市と晴久がクスクスと笑い出す。
それから四人はお茶を飲み終わって落ち着いてから勉強を始めた。勉強自体は学校でやるのと変わらず、四人とも出された課題を中心にこなし、月子が判らない部分を手が空いている誰かに教えて貰うという形で進んだ。
一通り終わる頃には夕飯を準備する時間になり、夕飯を作りに行くと言う市を手伝いに月子は一緒に降りて行く。
キッチンでは元就の母親が何かしようとして市の声にビクリと肩を竦めた所だった。その様子を見てがっくりする市と苦笑してしまう月子に、恐る恐る振り返る元就の母親が泣き付いてきて結局三人でご飯を準備することになった。
そうして準備した夕飯を食べ終え、もうひと頑張りをした所で帰る時間となり元就も市の家に泊まるというので一緒に家を出ることになった。
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