第1章 砂漠の月00~70
「おはようございます」
「おはよう、月子ちゃん」
「おはよう」
「よう」
家の前では既に準備万端の市と晴久、元就が居てそれぞれが挨拶を返してくれる。あまり親しくない人も居るということで緊張している月子に、晴久が頭ぽんぽんをするのはそろそろ通常運転となっている。
一緒に海に行くメンバーはこれから拾って行くからと車に乗り込み、運転は黒羽がしてくれるようで次々と参加者を拾っていく。
全部で十人ほどで、乗ってくる度に月子を見るとお前が噂の、と楽しげに頭を撫でていくので月子は都度、わたわたしながらも挨拶をしていった。
好意的な声掛けに緊張もいつの間にか解けていて、海に着く頃には嬉しそうな笑みで話に混じる月子が居た。
「海だー!」
「別荘で着替えたら早速行くか」
窓から見える景色に海が映ると海が好きなメンバーは騒ぎだし、車内は賑やかになる。
そして車は別荘の駐車場に静かに停車した。
別荘に入ると女性部屋と男性部屋とに別れそれぞれ着替えて玄関に集合となった。
部屋に荷物を置き、月子は市に渡された水着を見て固まるが自分では持って来なかったので意を決して着替える。
「あ、あの……」
「着替えられた? サイズは大丈夫?」
「あ、はい、それはピッタリでした」
そろりと月子がバスルームの扉から顔を出すと、気付いた市が笑顔で手招きするのでそろそろと出て行く。
先に着替えた市は紺色のホルターネックで幅の太いリボンを巻きつけたようなトップスにサイドがゴムひも二本で繋がっているボトムスのビキニだった。
括れた腰がホルターネックの水着も相まってスタイルの良さと大人びた女性らしさを伝えてくる。
対して月子が身に着けたビキニは淡いベビーピンクに小花の柄が入った布に白のレースが重ねられたデザインの上下でトップスには中央にレースのリボンがあしらわれ、ボトムスはレースがスカートのようにパンツを多い両サイドにピンクの布で出来たリボンがあしらわれた甘めのデザインだ。
月子の可愛らしさを強調するデザインだが、自信のない月子はパーカーがないかと部屋を見渡すが見つからない。
「い、市先輩、パーカーは……」