第1章 砂漠の月00~70
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いつもは月子が市達の教室に訪れているのだが
今日は珍しく市が月子の教室にやって来て、にこにこ笑って月子にある用紙を見せる
校内で話題が尽きないマドンナの登場に、月子の教室の生徒は顔を赤らめる者も多かった
「部活動ですか?」
「うん、今はどこにも入ってないでしょ?」
市と一緒にお菓子を作らない?
入部届を見せると嬉しそうに笑顔を見せる
「良いんですか?」
「うん、人数そんなに多くないから気楽よ」
今日は簡単にケーキを作るよ、そう言えばケーキ、と目を輝かせて
よし、今日ちょっと体験でお菓子を作ろうか。
放課後に迎えに来た市と共に、月子は新たに増える楽しみに心が踊った。
「晴久先輩!」
「お、市と月子。同好会は楽しかったか?」
「はい!」
作ったんですよ、とタッパーに入ったケーキを見せると
月子に目線を合わせた晴久はニイっと笑って
「!」
「月子」
晴久。天然だよね、月子ちゃんに口開けて見せてあーんしてるよ。月子ちゃん顔真っ赤だよ
部活終わって人が居ない時間で良かったよ、本当に。
「くれないのか?」
「え、あ、あの」
同じく口開けてきた元就に、黙ってケーキ突っ込むともぐもぐと口を動かして
美味しい?うん、美味しいならいいです
問題は口開けたまま待ってる晴久で。
「は、はい」
「さんきゅ」
美味い、ともぐもぐ口を動かしてる晴久を無性に小突きたくなるんですが
「市」
「元就は自分で食べてね」
寂しそうに自分で食べ始める元就に思わず笑って
何だ、と言う様な目で見られたけど、うん、何か可愛いなぁ
無事に私と同じ部活に入部してくれた月子ちゃんは楽しそうに笑う様になって
…何故か他に入部者が出て来たんだけど何があったんだろう。
「市さんが私の教室にやって来てから市さんの人気上がっちゃったんだよなあ」
「ん?」
「いえ、何でもないですよ」
月子は、これは何か言ってはいけない気がする。と察知した。