第1章 砂漠の月00~70
何があるのかなんとなくわかったが、意図がわからず問うようにポロポロと言葉を落とせば満足気に笑った晴久の言葉に月子は真っ赤になって俯くとなんとか振り絞ってお礼を口にした。
それにどういたしましてと返した晴久は、それじゃあと何でもない風に踵を返し帰っていく。
その背が見えなくなるまで見送った月子は、心ここにあらずで自室に戻るとベッドに倒れこんだ。
「不意打ち過ぎます、晴久先輩ぃ……」
枕に顔を埋め、そんな呟きを落とすと力尽きたようにそのまま寝てしまった。翌朝、皺になった服に悲鳴を上げるのはご愛嬌かもしれない。