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砂漠の月

第1章 砂漠の月00~70


18

バタバタとした日常が過ぎ訪れた休日。月子は市に誘われて買い物へと行くことになり、前日からクローゼットを必死に漁ってなんとか見れる服をと頭を悩ませていた。
どうにかコーディネートを終え翌朝を迎えた月子を迎えに来たのは晴久で、普段お泊り会にお邪魔した時に良く見る和装ではなく制服でもない洋装に月子が視線を彷徨わせる。

「お、おはようございます……」
「おう、おはよう。どうした?」
「いえ、その……和装を見慣れてて、洋服姿は初めてなので……」

かっこ良過ぎて直視出来ないとは言えず言葉を濁すと、首を傾げたままの晴久は慣れないだけだと納得したのか制服と変わらないだろうと笑いながらエスコートしてくれる。
月子は心の中で何度も市の名前を連呼してハードルが高過ぎますぅー! と悲鳴を上げていたが、同時に役得でもあったので同じだけお礼を叫びながら市の家へと向かった。

「市せんぱぁーい!」
「あらあら……」

市の家の前で待っていた元就、市と合流すると月子が市にぎゅうぎゅうと抱き着いた。理由を解っている市はクスクスと笑いながら宥めるように背を撫でるが、晴久の方は俺が迎えじゃ嫌だったのかよ、と若干拗ねたフリをする一幕もあったが一通りじゃれ合った後、今日の目的地であるアウトレットモールへと向かった。

「到着! 結構色んなブランドが入っているの、ね?」
「だな。まずは何見る?」
「今日の目的はこやつの物だろう? まずはこやつが普段行くブランドが良いのではないか?」
「へ?」

晴久の言葉に元就が答え、がっしと頭を掴まれた月子は寝耳に水だと目を見開く。
しかし、マイペースな三人はそれもそうかと近くにあった施設マップを持ち出すと、月子に普段着るブランドがあるかと聞いてきた。
月子はよくわからないままに見せられたショップリストから自分が好んで買うブランドを示すと、片腕を市に取られ半ば引きずられるような形でその店に向かうことになった。

「あの、これ」
「良いからじゃんじゃん着替えて!」
「えぇ?! ちょ、まっ、市先輩?!」

お店に入ると数分経たずに市に呼ばれ、月子は試着室に押し込まれた。
手渡された服にきょとんとしているとそれに着替えて見せてと言われてカーテンを閉じられた。
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