第94章 創傷(そうしょう)
それが朝での出来事で
今になってみれば…
ケイトも僕も有り得ない程に回復しており
気になって実状を調べてみた所によると…
フィン「なるほどね」頷く
ケイトの不調=フィンの不調
という図式が組み上がったことで…
一層励んでいたようだ……
ケイトの神像もまた、天狗の白い羽根と、弁天の白い羽衣が、何もせずとも追加されていた
僕の方にまでケア出来ることは無いかと、懸命に動いてくれていたようだ
それが自ずと祈りとなり、回復力にまで働き出し、光となって届いたということか…
それに一連の出来事との関連性を理解し、納得して頷いた
力を使って魂を生み出し梱包する以外は、何も出来ない
定位置に縛られ、定位置から動けない、決して
そんなことを…水の国にいた時に知った
けれど…それは、138億年の記憶から既に知っていたようで、あっけらかんとした表情でケイト本人は受け入れていた…当たり前でしょ?とでも言うかのように――
ケイト「私も…皆も…自由にしてみせる!
化身化の力は
もう限局化されてしまったことで、もう今までのようには出来ない…
けれど……願うことは出来る……
魂の膜…
それをレス化させることが…
キタルレスの名の由来なのだから……
成り立ちを、全てを…解き明かし、顕(あき)らかにする……
それが…この世における、私の役割……顯子(あきこ)という名の、意味なのだからね(すっ)←拳を差し出す
今、私は妊娠状態にあるのだから…
それを逆手に取るなりなんなりいけるとは思う
いや…必ずする
でないと…笑ってられないんだよね?
私は…私を除いた大事な人達だけじゃない
みんなと、笑っていたい
一緒に生きたい
それが私の…今の願いだから」微笑
ぎゅうっ
フィン「………無茶しないでね?」
ケイト「………確約し兼ねる
お前が大事だから…
大好きだから…
必要なら、無理でもなんでもするよ
失いたくないから…絶対に
お前だけは」真剣
フィン「………
まったく…
本当に…君は……
頑固なんだから」ぽとっ
ケイト「お互い様でしょ?
絶対譲ってくれないんだもん
ありがとう…すっごく嬉しいよ
だから望めるんだもの
ずっとずっと…思えなかった生を、望めなかったことを…思わせてくれて、願わせてくれて…ありがとう」涙を流し抱き返す