第89章 堆魂の儀(ついこんのぎ)
つぎはぎだらけの自分でも…←胸の前に両手を上げ、掌を拡げて見つめる
本当に…‥‥←悲痛な顔で、目を細める(5230ページ参照)
自分だなんて…言えるだろうか←散り散りと、光となって消えて行くのを間近に強く感じる
あいつ(初代)がこれまで頑張ってきてくれたから…
『今』がある
『これまで』がある
自分が生まれて、成長して、神に至って…
神に至った瞬間に、急に『創世神の膜』なんて与えられて
『2代目原初の始祖神』として、気付かぬ内に削られて行って……今後も続いてゆくことになって……
自分が頑張ることで、負担が減ると思いたかった…
信じたかった……
でも…違った……(ぽとっ)←落涙
(ぐぐっ)←胸の前で広げていた両手を見つめたまま、拳を握り締める
減らせてなんかいなかった…
逆に…増やしてしまった……
10万年前…急に聖域だとか、精霊界だとか…
始祖神の涙や、世界神の世界樹が…この世に遣わされたのは……
「主犯格の癌」を、この世に生まれさせて…チャンスを与える為だった……
守る為だったんだ……皆を‥……この世を…‥……
実在化を蝕む、「主犯格の癌」の手から―「自らが一方的に与える犠牲、犠牲を犠牲とも思わず、罪を罪とも思わぬ愚か者」の魔の手から…
それを――その為の犠牲を、『原初の精霊』まで生んで力の全てを注ぎ込んだそれを……
悪とし、善を歪め、人類は仇で返した…癌に加担して――誰からも裁かれないままに―――
『原初の始祖神の分体(ウレイオス)』は、全ての世界に遣わされている
実在化を確定事項とする為に――
たったの一人だけ――唯一―――
それを――――
平気な顔で、使い潰した――――「主犯格の癌」と全く同じ顔で、全く同じ態度で―――――笑って―――――←瞑目し、辛酸を嘗めさせられたかのように苦々しそうに歯噛みする
3000年前にやらかした主犯格の癌と加担した癌は、2910年前に地獄に落ちた←5312ページ参照
2800年前にウレイオスが死んだのは‥魔神の闇なんかのせいなんかじゃない←2036ページ参照
「主犯格の癌」のせい、それも…「それに加担した全て」のせいだった
その実在化の負荷に耐え切れず←5031ページ参照
『魂は不滅』という理から長過ぎる生と過労により外れ、死した「もと」は