第87章 神化(しんか)
ケイト「また…
また…何も、守れなかった――
ごめん…ごめんな……」滂沱の涙
パチン!
ケイト「…」ひっく
その場に蹲り泣き崩れる、双眸から瞑目したまま涙を滂沱の如く流し続けるケイト
その左頬へ、僕は無言で右手でビンタした
守ろうとした――全てを守りたかった―――でも守れなかった
フィン「癌を守ろうとしないでくれ。
悪いのは癌であって君じゃない。そうだろう?」
ケイト「でもっ!また…生まれて、来てて」ぐすっ!
止まらない涙を手で拭いながらも言葉を続けるケイトに、僕は嘆息を返した
フィン「はああっ」嘆息
ケイト「ビクッ!!)!!」身構え肩震わせ
フィン「いいかい?
よく聞いてくれ。
…君はそうやって人の責任まで抱え込むのか?」
ケイト「え?」
フィン「人が消える度に、今後もそうやって自分を責めるばかりで、肝心の責任がある本人には何も咎めずに、自分だけ責め立て続けていくのか?」
ケイト「んっ…と」
フィン「反吐が出るね」
ケイト「ぐさあっ!!!)…;」ぐすん
フィン「そんな在り方、接し方では、人は育たない」
ケイト「!」瞠目
フィン「君は何がしたい?」
ケイト「え…癌が生まれないようにしたい」
フィン「なら尚更その悪癖を改めるんだ。
それでは癌の思う壺だし、何より癌が自分を助ける為に利用して、酷使しようという思惑に乗ってしまう。
最悪の結果にもなり兼ねない」
ケイト「それって…」
フィン「君を犠牲にして自分だけ助かろうという魂胆なんだろう。
創世神の親世代の時でも十分見たはずだ。
自分を大事にしてくれる人達を盾にして、犠牲にすることで、自分達だけ助かった。
だがそれで残された人達の為には、癌等は決して動くことは無かった。走ることさえも…
自分達の為に走らせるだけ走らせておいて、走ってくれた人達の為には走りたくないだなんて抜かすもの…
それが癌だ。
関わり合いになりたくない――
そう胸を張って接するべき相手なんだ。
守りたいと願うのも君の勝手だ。
だが…僕達と一緒に居たいのなら、共に生きたいのなら、もっと自分を大事にしてくれ。
自分を犠牲にしようとする、犠牲にしてでも助けようとする、自らを許さない在り方ではなく…いい加減、自分を許してやってくれ。
君の優しさを否定する気は無い…だが、重んじるものを間違わないでくれ」真剣
