第87章 神化(しんか)
そう定められた道筋だから?
違う…
ケイトだからだ――
抱き締めて離さずにいた
フィン「あなたを犠牲にして生きていたって、何にも嬉しくなんかはない!!」
ケイト「嬉しくなくたっていいよ」
フィン「!!」
ばっ!!←顔を上げる
ケイト「お前らが生きてさえいてくれれば、それでいい
俺の生なんか要らない
俺は、俺の生なんか望んでない
何かをしたいだなんて思わない
思ってはいけない
そう育てられてきた
そう習慣付けられてきた
当たり前だった
お前らの当たり前を押し付けるな」
フィン「そっちだって押し付けてるじゃない!!!」
『………』
ケイト「あー…
…………
確かにそうだ…ごめん(お辞儀)
でも…その生き方が、俺にとっては自然なんだ
ずっとしてきたことだったから…
…ごめん
止めるななんて、言えない
ただ…そういった生き方をしてきて、何も感じないぐらいに…なっちまってるんだ…
でも…お前達と過ごしてる内に、欲が出ちゃったよ…
ははは^^」
ぎゅうっ!!
ケイト「もっと…もっと……抱き締め合っていたい
二度と、抱き締められなくなるまでに…(ぽとっ)
死ぬほど、一杯…それでも、きっと足りないってわかってる
それでも…ああしなきゃ…守れないんだよっ
なんで…折角…殺せ、てた…はず、だったのにっっ…
何で戻すんだよ…ばかあっ」ぼろぼろ
泣き崩れ出すケイトに…同じく膝を付けて抱き締めたまま相槌を打って聞く
ケイト「こうして抱き締める度に、愛しさが増してしょうがない
もっともっと抱き締めていたいって、一緒に居たいって思っちゃうんじゃないか
何でやめてくれないんだよ…
もう触れられなくなるのに…抱き締められなくなるのに…もっと耐えられなくなっちゃうじゃんかよおおお;;(ぼろぼろ)
自分が死んだ後で哀しまないで居られるだろ?
ああいう風に徹してさえいたら…少しでも、減ったはず、だったのに
減らそうとしたのに…何で邪魔ばっかすんだよおおお;;」
フィン「いくらでも邪魔する」
ケイト「何でっ」
フィン「好きだからだ」
ケイト「…え?
ひっく」
目を丸くした
フィン「愛しているから…ひとりで、そんな無茶をさせられない
させたくない
それは…君だって同じはずだろう?」
ケイト「そうだよ」
静かに頷く