第87章 神化(しんか)
早く死なないと守れない…
少しでも…罪が軽い内に、私がこの世から消えれば…死んでさえしまえば…守れるはずなんだ
と
そう、推測を立てて実行に移そうとまでする始末だった
いつだって守る為――その為にだけに、自らを軽く、簡単に、犠牲にしようとする
誰も犠牲にせずに、己一つだけを犠牲にして――
それが―――原初の始祖神(の証)だから
これ以上、罪を重ねさせない為――
少しでも、罪が軽い内に――
そうなれば――消滅にはならない人も出てくる
自分さえ死んでさえしまえば――実在化は通らないかもしれない
でも…でも……存在自体は守られるから
私の意志はどうでもいい、どうだっていい…ずっとそうされて生きて来た、これからもそうだ
誰からも守られず、誰からも代わられず、閉じ込められて…死ぬ最期の瞬間まで、削られていく身だから
もう慣れている――心配するな(微笑)
困ったように、そうケイトは微笑した
だが…僕は、そんなことを言われて、平然とはいそうですかだなんて受け入れられる訳もない
それでも距離を取って、ひとりで決めて、ひとりで死んでいこうとした
そうし出すケイトを止められず、なんてのは…死んでも嫌だった
だから…無理やりにでもしがみ付いた
縋り付いた
一人で何でも背負い込んで、完璧になんて土台無理なのに、一人だけで成すことでも無いのに、責任も何もかも自分のせいだと追い込んで、誰も…誰にも伝えず、理解もされないまま、それでも…幸せでさえあればと望み、自らを犠牲にする
そう育てられた
そう言えばそれまでだろう
だが…だが……!!(ギリッ!!)←歯噛み
そんなこと!!!望んでない!!!!
何も嬉しくない!!!!!!!!!!!
慟哭と共につんざいた声が、喉笛を貫いた
本当に嫌だった
そんな決断をさせる自分自身が
勝手に決めて、そこまでに深刻化している現状を誰にも話さずに、ひとりで背負い込んで死のうとするケイトが
深刻化しているという現状を
伝えさえしてくれれば一緒に考えた
でも出来ないのだろう
幸せで居て欲しいから
何も知らずに、幸せに過ごしていて欲しいから
^^
その為だけに君は笑って、平然と自分を殺すのだろう
誰にも言わず、誰にも告げず、誰にも教えず…たったひとりで死地に赴こうというのだろう