第86章 紡ぎ
『アルヴの王森(おうしん)』
リヴェリアの生まれ故郷でもあり、飛び出してきた実家でもある
その聖域を知らぬエルフはこの世にはおらず、広大かつ神秘的な森林地帯で『アルヴ山脈』に並ぶエルフの聖地として一族の者に崇められている聖林
偉大なる始祖の系譜を受け継いだハイエルフの王が住まう神聖な地であり、ヒューマンやドワーフの都市とは違ってその全てが木材で造られているエルフの秘里
王森の最奥
屈強な神の眷属であっても幾十にも張り巡らされた警備と自然を用いた巧妙な罠の数々を越えなければ辿り着けない楽園
聖王樹の根元に築かれた白聖石の王城
外装はもちろんのこと内装も白く輝く鉱石で作られた優美な王宮の一室
そこには…無理に押し入り嫁になったという経緯を、挨拶が遅くなって済まないという旨を、リヴェリアが直筆で書いた手紙が、瀟洒な調度品に囲まれた室内の中央にある大きな机の上に置いてあった
ラーファル王の自室である
エルフ一族と各種族王族一族代表から『リヴェリア様の判断(目)は間違ってはいなかったのだ!』『リヴェリア様が選んだお方は全ての実在化を司っています!』『先見の明がおありで喜ばしい!』『『『お祝い申し上げます!!』』』と賛美の声の手紙と共に祝いの山がこれでもかと言わんがばかりに高く高く部屋の4分の1を埋め尽くす程に詰まれていた
川のほとり
ケイト「へえ…深い森だね」
リヴェリア「ああ
恐らく、私の父が迎えに上がるだろうが…覚悟しておいた方がいい」
ケイト「へ?何の?」
リヴェリア「…‥……
父は…その……
思い込みが激しいと言うか、一度言い出したら聞かないんだ」
ケイト「?人間なんて皆そんなもんでしょ?」
リヴェリア「それはそうかもしれんがその比ではない!」
ロキ「ま、会ってみたらわかるって
言われた通りに挨拶やるんやで?」にや
ケイト「うん!」キラン!←ガッツポーズ
任せて!と言わんばかりの満面の笑みと頷きに
嫌な予感が走った――
その折…ラーファル王が来た
ケイト「あなたの娘を、リヴェリアを私に下さい!!よろしくお願いします!!!!誰よりも幸せにします!!!」90度お辞儀
ラーファル王「よろしくないわあああああ!!!!!」かっ!!←慟哭&血の涙
どれだけ対応に追われたと思ってるんだあああ!!という心の叫びが聞こえた…;
