第86章 紡ぎ
ケイト「心の…距離?」
フィン「そう!
癌や隠れ癌は前科者なんだ、創世神の親を殺した
隠れ癌の中には、神様だっていたのかもしれない
でも、癌と接触するだけで必ず癌になる
何故かわかるかい?」
ケイト「ぐすっ
なんで?」
フィン「ふふっ
(なでなで)
それはね…魂の前世で、創世神の親を殺したからなんだよ」
ケイト「…あ!
確かに言われてみれば、魂の生まれ変わり、前世だ」
フィン「もっと端的に言うと、創世神の親…大事にしてくれる人を見なかった
『人を見る心』が無いんだ
隠れ癌には出来るが、それ以外には出来ない
それはね…一緒に創世神の親を殺した、創世神の親殺しに加担してくれた、同志だからなんだよ
同志でないものは、人として見ることから出来ない
だから的外れなんだよ
大事にしてくれる人達のものの中で、隠れ癌しか大事にし返すだなんてことは出来ない
そんな相手に振り回されるだなんて、ちゃんちゃらおかしくないかい?」
ケイト「うん…
救われないって、わかってる
でも痛い、ぐすっ
だから痛い」ぎゅっ
フィン「言いたい気持ちはわかるよ
でもそれこそ距離を置かなきゃ
また繰り返してる、懲りてないなって
そう思わなきゃ、距離を置かなきゃ、君が痛いだろ?」
ケイト「…うん」
フィン「僕はね…
大事にしてくれる人達を大事にしない癌一派よりも、君の方が大事だ
そこを忘れないでくれ
「癌一派(癌一族と隠れ癌)」を、「大事にしない人」を、大事にするな、大事に思うな
大事だと思ったその時点から、苦しみや痛みが身を襲う、癌化の闇が滑り込みやすくなる、心のバリア機能を低下させられる、癌に無理やりさせられる
そんな人達に振り回されてはいけない
君の、助けてはならない癌一派を助けたいと願う心は正しい、優しい
けれど…癌一派はそれを利用して生き残る為の犠牲に平気でするだろう、今後も、永遠に
だから構うな
厭うな、消えるべき存在が消えることを
たとえそれが…どんなに辛くても……痛くても……消すことの方が正しいんだ」
ケイト「うん…
気を付けるね…
本当に…私のこと、大事に考えてくれてるんだね」
フィン「当たり前じゃないか!
何を言って」
ケイト「だから…(ぎゅうっ)
もっともっと、触れ合いたかったよ…
引き継ぎ業務をしたら、もう二度と触れ合えない
恐い
