第86章 紡ぎ
己がしたことは全て、そのまま己が身へ跳ね返る
つまり、癌が消えるのは自業自得だ
それ以外にはならないように摂理が定められている
お前らのしてきたこと…お前らの身を持って贖(あがな)え
因果律(いんがりつ)
そういう仕組みで出来ているのだそうだ
銀行は役所の隣にあり学舎の学生証で年齢確認を取れ、学生でなくても市民カードでも可能なのだとか
もし両方忘れたか、あるいは元々持ってないならば、用意された板の上に手を乗せるだけで確認可能なので、それで手続きをしているそうだ
魂ごと読み取り本人確認と同時に登録もされるので、偽装は不可能という特別仕様なのだとか
要するに…振り込みにせよ入金にせよ通帳の持ち歩きが不要、着の身着のままでも十分可能だと言う
本人以外に引き出しは出来ず、もし伴侶が卸す場合には本人からの要請あるいは同意が必要
もし酔っていたり意識が朦朧としている時での曖昧な了承であれば拒否される
振り込みはよそからでも可能、支払いの為の引き落としも同様、役所に行くだけで纏めて一括で手続きも出来るお手軽仕様なのだとか
銀行員が携帯に登録したアプリに手続きをすることでお金の動きが全額見れるようになる、黒字か赤字かまで一発で示してくれる
更に、登録した本人には定期預金であれ通常預金であれ纏めて一括で管理でき、全て自由に見れるという
こちらも同様に本人からの合意なしでは他者からは見れない仕様
最悪身一つになろうとも対応可能という
銀行員曰く、「あなたの身(無事)に勝るものはないでしょう^^」とのこと
神国王の意志もあって決められたとも…
それらも大々的にCMにて取り上げられている
ケイト「お母さんも…体制が整っていたら……
ぱっぱと離婚して、3人で…笑って、暮らせてたのかな」
ぽつりと呟かれた言葉に目が集まる
泣きそうな顔でケイトは、凝視されながらも言葉を紡いだ
ケイト「お金の不安が無くて、すぐ行動出来たら…大事にするように、取れてたのかな…
3歳の時……離婚したら、ケイトだけは貰っていくからなって…糞野郎が言っていた……
私のせいで…2人を、縛り付けてしまっていた……
だから……少しでも…減らさなきゃって……必死だったんだ
守ろうとした
守りたかった…
守れなかった……
だから……今度こそ、守らないと」真剣