第82章 光芒(こうぼう)
出てすぐ、そんなやり取りがあった
道中で、足は辛くないか、と常々気に掛けてくれていた
母上が、お偉方に嫁にやると側室だ愛人だ等で粗末に扱われて返されることが多い為、つい父上があのような言い方になってしまうのだということも併せて伝えられた
蓮「正能様はそんなことはしないのに…」ぽつり
母上「そんな先のことはわからぬでしょう
せぬという確証も無い内は、土台無理というものです」
溜息交じりに返された
それから後…婚姻の儀を上げてから数年後に、一通の手紙が届いた
(蓮の)母上からのものだった
「辛くはありませんか?」といった文面から、それは始まり
あなたの行く末が気掛かりだったこと、
あなたの幸せを心より願っていること、
「私の心は、常にあなたの傍に居ますよ」と…
正能様ならば安心だと信頼出来ること、
「あの人についていきなさい、生涯に渡るまで」と…
最後の別れ際に、纏めて伝えたかったことがそこには書かれてあった…
ひっそりと出された手紙に書かれたこれらの文面も、見せても構わないと……
出すか出すまいか、かなり迷ったこと
お腹に子を宿したと噂で聞いて、筆を取ったことも…併せて書かれてあった
蓮「母上…
会えぬ身なれど、想うております
心より…
あなたの幸せを願っております」
月に、祈りを捧げた
それは…綺麗な満月で
中秋の名月だった
高杉家に残った乳母は、産婆の経験もしている為、心強くもあった
そして…娘2人と男児1人に恵まれた……
その男児は、正能様が亡くなる前に身籠ったものだった
やむを得ず実家に身を寄せることにはなったが…最期まで生き切ったとだけ記しておこう……
野山蓮としての生涯は…君という存在に、魂に、心底惚れるには、十分過ぎた
フィン「ケイト…」ぽつり
ケイト「フィ…ン」ぽつり
会いたいよ――
互いに、想いが重なり合っている等…当時に気付く由も無く……
彼等彼女等の到着を待つばかりだった
小狼「遅くなって済みません!」
フィン「いや…連絡から数分も経ってない
気にしないでくれ」
シャオラン「……」俯く
ルパン「で?俺らは証拠取るんだよな?」
次元「まずは異空間結界取り払ってからだろ」
五ェ門「間違いなく」頷
ルパン「だよな、結界あったら魔術式使えねえんだもんなあ」