第81章 結び
審査官「そうなんだね」
ケイト「消えないと…
また、繰り返す
自分で選んで、決めた道に…また、巻き込んでしまう
たとえ…それで、死ぬものも、消えるものも、いなくっても…同じことだ
やっちゃ…いけないと…
わかってた
わかってたのに…
見捨てるだけでよかったのに
怨霊がやったことをなかったことにしてでも
死なないで欲しいし、消えないで欲しかった
誰も望んでなかった
それでも…
また…何度でも、勝手にしてしまう
俺が俺でいる限り、たとえ何を言われたって、何をされたって、いくら自分を大事にしろって言われたって…(涙目)
蔑ろになんか出来る訳無いだろおっ
その為に全体を蔑ろにする自分なんか…俺なんかが、なっていい訳ないだろ
俺は、癌を、一人も、救えなかった
助けられなかったっっ
大好きな…人達を…嫌いになるしかないなんて…
そんなの無理だ
俺には…出来ない」
鼻水まで流れ落ちる中、審査官が席を立つ
ケイト「やりたくないよおっっ」
審査官「ぽんぽんっ)
大好きな人が癌だったんだねー
で、嫌いになるしかなくて、酷いこと言っちゃって
でも今生きてる人も守りたくて
その為に沢山の人を振り回して傷付けてしまった
そのことにも責任を感じてるし、大事にしたいと考えてる
でも…嫌いになんてなれないし、死ぬことも消えることも正しいとは思えなくて、ただただ苦しくて、藻掻き苦しんでた感じだねえ」
拘束官「なるほどな…」
審査官「鼻水拭いてあげてもいい?」挙手
裁判官「許可する」
審査官「よしよし、息苦しいねえ~」
力を使って鼻水と涙を回収し息がしやすいように整えてから、
再び額を撫で、笑い掛ける
拘束官「無罪放免でいいだろ
こいつ
被害者出てねえし…
何よりこの価値観がある限り、消滅の危機に脅かすとは思えねえ」
保定官「右に同じく」深々頷く
真偽官「ペテン師よりマシね
本気で自分が消えるべきだと思ってる
事態はそう簡単でもない
正しいことにいくら力を使えたって、起こった全てが正しいとは限らないね
正しいことだけ背負って、悪いことだけ背負わないなんてのは
傲慢よ(真剣)
それだけでも十分消えるに等しい罪人ね
ベル・クラネルも、沢田綱吉も、その類ね」
裁判官「うむ…わしもそう思う
ただ…こ奴はその類、癌ではない」ケイト見やる