第81章 結び
常に実在するに能う世界かどうか、常に見られ続けている
それを自覚した
と同時に、ケイトがもし仮に消滅して欲しくないと望んだとして、始祖神が望まなければ――
消える
全てが――いとも容易く
そうか――
だから――
泣いているのか
これまで頑張ってきた…
その証明を…少しでも…生かしたくて……
これまでの証を、遺したくて――より多く…
それこそ…血涙を流しながら、途方も無い凄惨な苦労の末に、現在まで、今日(こんにち)まで築き上げてきた全てを――
だから――なんだ
だから泣いているんだ…君は
やっと、腑に落ちた
今もなお苦労を続けている始祖神
それに報いたいのだと、少しでも気持ちに応えたいのだと…
死ぬ前に…せめて、安心させたくて……
その上で、少しでも多く遺したくて
ただただ必死なだけだったのだと――
それを知っていたから、始祖神は…あんなに怒った
ケイトを癌扱いすることも、癌だと勝手に断定して勝手に扱うことにも…
当然のことじゃないか
色々なことに納得し、溜飲が下がった
あまりにもケイトらしい…
弱音を滅多に吐かない君が、ここまでになるだなんて…
それ程大事だからこそ、だというのもわかってはいた
分かってはいたんだが…
より一層…早くに教えて欲しかった、という想いに囚われていた
いや…だからね…;
もう少し頼ってくれって;もう;
フィン「はああああああっ」嘆息
間髪入れず、嘆息を深く深く、大きく大きく零した
あまりにも長く…
心底、想いを込めて
フィン「いいかい?」
ケイト「ビクッ)…」震&緊張
僕の目を見た瞬間、君は身を震わせた
目も…
だが僕はそれを無視した
それは、それよりも伝えなければならない急務があったからに他ならない
フィン「君がどう思おうが勝手だ!
だが…一つだけ敢えて言わせてもらう!」
ガシッ!!←両肩を掴む
ケイト「!!」青ざめ震え
ばっ!!
瞑目し、殴られてきた習慣からか腕で頭を抱えて身を屈めるケイトに、僕は叫んだ
フィン「睨視怒号)そんな大事なことなら最初に言ってくれ!!!
言ってくれれば僕も一緒に考えた!!一緒に悩んだ!!君をひとりになんかさせはしなかった!!!!
ひとりで抱え込むな!!!君が君をひとりにするな!!!!」