第78章 火の都
人を大事にするとは…人を好きにすることでは断じてない
それを…
君を通して、この件を通して、理解できた気がした
君という軸が、僕を変えてくれた
前へ――踏み出させてくれた
前を向く勇気を――君がくれたんだ
『大事な想い』を、『願い』を、『人に寄り添う心』を――
だが――それは、「寄り添わない者達=癌」にとっては『好都合な奴隷』でしかなかった
それが――
それだけが――残念でならない
きっと――和解できた道もあっただろうに
自分で潰しているんだから、どうしようもない
非(過ち)を認めない限り、前には進めない
『同じこと(過ち)を繰り返さない』という『対岸(神)』には決して届かない
それは…ケイトを慕う誰もが、知っていることだ
学ばせてもらったのだから、ね
そう、愛おし気な目を向けていると…
ちゅっ
頬にキスをされた
次の瞬間、唇を奪われた
ケイト「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好きだあああい好きいいいいいい////」すりすりすりすり
頭を抱き締めて、そのまま頬ずりオンパレードに突入した…
うん…僕の思考を読んでいたね?(じろり)←じと目
ケイト「ふんふふんふふーん♪」すーっ←口笛を吹きつつ、そっぽを向いて離れて誤魔化す
そっぽ目で誤魔化さないでくれないかな?;(苦笑)
ははは…まあいいけれど(くす)
少しでも…少しでも、泣く光景が、減って欲しい
その為に、その為だけに…どれほどの傷を抱えて、自分に鞭を打って、無茶を強いてきたのだろう
我慢しろと、押し付けられる価値観に、認識に、身を染めることも無いままに……実父からの奴隷化という洗脳に抗い続けたまま
だからこそなんだろう…癌から守りたいと願ったのも
癌を守ったのも…きっと
言い訳をしたくなかったんだろう
理不尽を許す訳ではないのだから
許していいとした場合、必ず降りかかって来るもの
たとえかけていなくてもかかってくるものなのだから
だから――何かと言い訳を付ければ、好きにしていい理由にはならないと、自らに課しているのだろう
そここそが…見習うべきポイントではないだろうか、そう思ってならなかった
と同時に――わかってしまった
人を好きにすることを、正しいと頑ななのが「癌」だと―――