第78章 火の都
癌達はそんなこともまともに出来ない人物だからね。神フレイヤへの待遇でよくわかる
彼女が攻めていなければ…生涯拉致監禁だったろうに、自分達にかかるはずの分の罪も処罰も汚名も全て着せて返してみせたんだから…
と、済まない。話が横道に逸れてしまったね
折角のオラリオ観光が台無しだ、と言っていたよ
そりゃそうだ
最悪の思い出にさせられたんだからね…それも、人為的に、勝手な誰かの都合で」
ケイト「それも罪の意識が無いから…」遠い目
フィン「誰かの為なら、誰かが死んでも構わない
誰かを守るということは、誰かを捨てるということだ。
ケイト「!
…捨て?」
フィン「ああ…
癌達は選んだ
守りたいものの為に、他の者達へ死を
せめて手段を選ぶべきだったね…
せめて――無関係な、無辜の民を巻き込まず、死なさない選択を、手段を取れてさえいたら、きっとまた違っただろうが…もう遅い
過ぎた時は巻き戻らない、元には戻らない…喪った命は戻っては来ないのだから」
ケイト「完璧ってのは無いものだけれど…
あれ?
癌達が消えてる」
フィン「連行されたんじゃないのかい?
行くよ、ケイト
帰ろう」すっ
ケイト「うん!」
差し伸べた手を、ケイトは取った
……こちらのケイトも、きっと知っているのだろう
だからこそ…
僕達の家族に、故郷についた時に真っ先に寄り添ってくれたね
魔術式を与えて、好きなだけ話させて、前を向けるように、今を生きて行けるように、精一杯…今という生涯を、生き抜けと
君は言ってくれた
それが何よりも嬉しいこと、喜ぶことだから…お兄ちゃんにとっては、と
その言葉を残すようにも、しっかりと伝えてくれていた
なんでそんなによくしてくれるのか、という問い掛けにも、君は真摯に答えてみせた
……‥誰も、よくしてくれなかったから^^
困ったように、くしゃりと顔を歪めながら…
それでも、辛うじて笑みを作っていた
だから…少しでも、同じ人が出て欲しくない…
少しでも、その想いが、人を大事に想う想いが、報われて欲しいんだ
生きて…無事で、幸せでいて欲しいから…それはきっと、誰もが望んでいることだから
死んだ人であっても、生きている人であっても、ね?
それが私の願いだよ!^^
癌を庇った理由も――はっきりとわかった